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詐欺店でコテンパンに搾り取られた風俗好き男性の復讐

徳重さん流・詐欺店を見分けるポイント

 これはあくまでも徳重さんがそういった詐欺店にひっかからないように独自に設定しているチェック項目なのだけど、良い機会なのでここで読者の方にも共有したい。こういった店は危険度が高いそうだ。 ①写真の顔出し度合い 風俗店における在籍女性の顔出しは都市部においてはそう珍しいことではない。ただしこれが地方になるほど急激に減少していく。地方ほど世間が狭いので顔出しが難しいわけだ。その地方の都市度合いに対して顔出し女性が明らかに多く在籍している店は怪しいとみるべきだ。その女性は在籍していないのでいくらでも顔を出せるからだ。 ②写真の統一性 掲載される写真は店ごとになにか共通したものがあるそうだ。背景だったり、床だったり、照明の明るさ、衣装、ポーズなどなど、店によってどこか一貫したなにかがある。ただし、詐欺店の場合はそんな女性は在籍していないので、自然とどこかから持ってきた画像が使われる。結果、公園みたいな場所で撮影したものやスタジオで撮影したものなど、同じ店なのに何も統一されていないツギハギみたいな画像が並ぶことになる。 ③出勤度合い これはなかなか判定が難しいところがあるが、基本的にデリヘル店においてはそこで働く女のコを確保するのがいちばん大変らしい。つまり新規オープンの店なのに異常に大人数の女性が在籍し、その女性が連日連夜、開店から閉店まで出勤している場合はちょっと疑った方が良いようだ。本当ならば人を集めるのは大変だし、女性たちも休みを取る必要があるのでそんなに出勤頻度も上げられない。ただし詐欺店の場合は、そもそもそんな女性は在籍していないし、なるべく多くの客を騙したいので最大限の出勤を設定してくるというわけだ。  徳重さんはこういったチェック項目を持っていて、これさえ気を付けていれば詐欺店には引っかからない。俺は引っかかったことがないと豪語していた。しかし「デートコース」がよくなかった。デートコースの魅力が徳重さんの判断を鈍らせた。

予約時間から2時間以上遅れて現れたのは……

「魂が寒かったんだよ」  明らかに危険度が高い店なのに、この画像にある清楚な社長秘書風の女性とデートコースを楽しめる、そう思うと呼ぶしかないと思ったそうだ。もちろん、いきなりデートコースではなく、普通に60分コースで呼んで打ち解けていこうと考えた。 「16時に美咲ちゃん指名でラブホテルに入ったわけ。でも2時間以上も待っても来ないわけよ」  そろそろ休憩時間のリミットだしどうしたものかと思っていると、ドアをコンコンとノックする音が聞こえた。  ゆっくりとドアを開けると、そこには指名した美咲ちゃんではなく、たいていのことは暴力で解決しそうな男が立っていた。どうやら美咲ちゃんはまだ初心者なのでお金のやり取りが難しいらしく、先に店のスタッフが利用料金を取りに来たらしい。そういって笑った男の前歯はすべて折れていたらしい。  初心者だから金のやり取りが難しい、のロジックはよくわからないが、徳重さん曰くこれは最大限に危険らしい。なにせ、先に金を渡してしまうことになるので、このあとにくる女性が完全に別人であってもキャンセルはできない。キャンセルできたとしても支払ったお金は返ってこないということだ。これが女性にお金を渡すスタイルであるならば、完全に別人じゃないか、絶対に支払わないという強硬手段も取れるけど、先に渡してしまってはそれもできない。というか、この後に誰も来なくて放置プレイになっても払ったお金を取り戻すのは難しい。  徳重さんは長年の経験で分かっていた。先に男が金をとりに来る店は危ない。それは分かっていた。けれども「デートコース」が良くなかった。その先にあるデートコースが徳重さんの目を濁らせた。  金を受け取った男は「すぐに美咲ちゃん来ますんで」と言い残してエレベーターに消えていった。それから1時間、誰も来なかった。これはいよいよやられた、誰も来ないパターンの詐欺だ、そう考えたとき、ドアがノックされた。  いよいよ、23歳美咲ちゃん、清楚な社長秘書で少し恥ずかしがり屋、がやってきた。ここから仲良く打ち解けていつかはデートコースと、喜び勇んでドアを開けた。  そこには社長秘書はいなかった。徳重さんは詳しくはしゃべりたがらなかったが、動物園の中の動物の3割くらいなら素手で殺せそうな女性が立っていたそうだ。ちょっとよく分からなかったのでバイソンはいけそうでしたかと僕が聞いたところ、バイソンは無理、という返答が返ってきたので、バイソンはギリ殺せない感じの女性だったようだ。
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動物園の動物の3割は素手で殺しそうな女性がとった、驚きの行動
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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