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会社員の給料が上がらない不都合な理由。終身雇用は「保険商品」と同じ

給料を上げる「経済の掟」とは?

東京通勤風景 2022年3月 新宿

写真はイメージです

私はその人が心の底から「保険」を求めていて、それを得ることで本当に心の平安を得られるならそれでいいと思っています。ただ、問題はその「保険」には相応のコストがかかっているのに、それを提供する側があたかもノーコストであるかのように偽装している点です。 働いている側は自分が「保険」に入っていたことを知りません。大学の就職セミナーでも、社会人の先輩も、親も、友達も、終身雇用の正社員とはこの「保険」に入ることなんだよって説明してくれません。誰も教えてくれないんです。 終身雇用を維持するためには、軽々に給料を上げられません。売上が仮に2倍になっても、給料は上がりません。それは「保険」料として徴収され、いざという時にあなたの雇用を保証するからです。コロナショックで企業の業績が悪化しても職を失っていないですよね?

「給料を上げたい」ならリスクを取るしかない

終身雇用という安定雇用「保険」のおかげでクビにならずに勤め続けられて良かったじゃないですか。それなのに、自分が同意した「保険約款」に書いてない「ないものねだり」をしていませんか? 正社員として雇用されているにもかかわらず、「この20年間給料が全然上がらない!」とか文句を言っている人がいるそうですが、まるで子供です。約束は守る。これが社会のルールですよ。逆にもう約束を守る気がないなら終身雇用を捨てればいい。私だってそうしましたよ。23歳の時に。今は昔と違って30代でも十分若い。まだまだリスクを取ってチャレンジできると思います。 私が独立した00年代より、起業する人に対する社会の目も優しくなりました。本当にうらやましい限りです。 いずれにしても決断は早いほうがいい。本当に給料が上がって欲しいと思うなら、元本変動のリスクを取るしかない。厳しいようですがこれが経済の掟なのです。安定雇用を捨てる気もないくせに文句ばかり一丁前に言っていても生産性ゼロですから。 <文/上念 司>
1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中
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あなたの給料が上がらない不都合な理由

日本人が囚われている貨幣の幻想を打ち砕く“経済の掟"

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