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「本当はそんな余裕ないのに…」賃上げせざるを得ない中小企業の悲鳴。“地方で月給30万円”でも人が集まらない

 日本商工会議所が発表した資料が示す「中小企業6割賃上げ」。経営難、人手不足と厳しい局面を迎える中小企業が賃上げに踏み切らざるを得ない背景とは?現場の声を追う──。

中堅社員のリストラも防衛的賃上げのしわ寄せ

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’24年度「賃上げ予定」の中小企業

「インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい」  今年の年頭記者会見の岸田首相の呼びかけに呼応するように、賃上げを行う企業が増えてきている。  日本商工会議所が発表した「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」によると、’24年度に「賃上げを実施予定」の中小企業は61.3%。だが、その内実は苦しい。  調査対象となった中小企業のうち「業績の改善はみられないが賃上げを実施予定(防衛的賃上げ)」が36.9%と「前向きな賃上げ」を上回る。そこには、経営的に苦しくても賃上げせざるを得ない、企業の厳しい状況が反映されている。

地方で「月給30万円」でも集まらない

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ドライバーの労働時間規制で、人手不足に拍車がかかる物流業界 ※写真はイメージです

「父から継いだ会社ですが、もうダメかもしれません」と嘆くのは、熊本県で運送業を営む岡部祐介さん(仮名・35歳)。運送業界は今年4月からトラックドライバーの労働時間規制が適応され、年間960時間を超える労働が禁止される。  ドライバーの長時間労働で人手不足を補っていた運送業界の経営サイドにとっては、苦難の年だ。 「うちは、大型トラックで熊本から関西へ生鮮食品を輸送する業務がメイン。ですが、規制が適用されると、1日の拘束時間の上限が15時間となるので、荷主が指定するスケジュールでの運搬が難しくなる。  そこで一台のトラックに2人のドライバーが同乗し、交代制で運送することにしたのですが、なにせ人手が足りない。地方では破格の月給30万円正社員枠で募集しても一向に集まりません。そもそも人手を増やしてもひと現場あたりの運賃は変わらないので、経営としては大打撃です」
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新入社員を雇うためベテラン社員を解雇
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