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パチスロ名機「ニューパルサー」を愛しすぎる、ニューパルおじさんとの邂逅

【おっさんは二度死ぬ 2ndシーズン】

伝説の名機「ニューパルサー」

 ニューパルサーというスロット台がある。1993年に山佐より発売された大ヒット機種だ。ニューパルサーは多彩で秀逸かつ美しいリーチ目、安定かつ波乱のあるゲーム性、高音質FM音源など話題を呼び、瞬く間にホールの看板機種に躍り出た。  知っている人は知っている、右リール下段チェリー付き7を表す「ゲチェナ」もこのニューパルサーが始祖である。そんな伝説の名機が確かに存在したのである。  意外に思うかもしれないが、当時はパチンコにおいてもスロットにおいても店独自のカラーみたいなものが存在した。現在ではどのパチンコ屋に行っても置いてある機種のラインナップはそう変わらない。細部では異なるかもしれないけど、人気のある機種はどの店に行っても置いてあるはずだ。  けれども、ニューパルサー以前はそうではなかった。あの店にはこの機種が置いてある、こっちの店にはこれが置いてある、といった感じで店によって設置機種が大きく異なっていたのだ。目当ての店に行くというよりは目当ての機種という感覚で店を選んでいた。  現代のように義務のように毎週、毎週で新台が発売され、義務のように新台入れ替えが行われ、義務の様に客が飛ぶ時代ではなかった。販売する側も買う側も慎重だったのだ。新台入れ替えは季節ごとに1回みたいな感じで厳選して行われていたのだ。  結果、店によってラインナップが大きく異なることになり、それが店ごとの個性に繋がっていた。

当時としては異常な大ヒット

 そんな風潮をニューパルサーが塗り替えた。あまりの大人気にパチンコ屋がこぞって導入し、当時としては異常ともいえる22万台の大ヒット。これは10年後にこれまた伝説の名機として知られる「スロット北斗の拳」が塗り替えるまで燦然と輝く日本記録だった。  全ての設置機種をニューパルサーにする店が現れはじめ、どこの店にいってもニューパルサーは設置されている状態だった。一説によると、最盛期は全国のパチンコ店に設置されていたスロット台の7割がニューパルサーだったらしい。  7割の店に導入されていた、ではない。稼働する台の7割がニューパルサーだったのだ。ホールごとの個性を一色に塗り替え無にした機種、それがニューパルサーなのだ。
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都市伝説のように語られていた「ニューパルおじさん」の存在
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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