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日本生まれ・育ちでも権利がない。難民申請が認められず、ビザを持たない子供たち

日常生活に必要な、住民票も保険証も持つことができない

筆者が仮放免の子供を病院に連れて行った時の医療費。これとは別に、薬代も4000円を超えている

筆者が仮放免者の子供を病院に連れて行った時の医療費。これとは別に、薬代も4000円を超えている

 日本が難民条約を結んでいる先進国の中で「あまりにも難民認定率が少ない」と言われているのは周知の事実である。認定されなければ、本人はいくら母国が危険だと訴えても送還される場合もあるし、いつ入管に無期限収容されるかわからない。ビザが与えられなければ、その国で生きていくための権利は望めず、苦しい生活を強いられることになる。  それは、彼らの子供たちも同じである。子供は生まれる場所を選ぶことができない。本人の意思とは関係なく、親の事情により連れてこられたのだ。日本語を母国語として日本社会の中で育ったにもかかわらず、外国籍でビザのない子供たちは、日本人の子供たちと比べてまったく権利を持っていない。  仮放免者たちの状況がさらに厳しくなったのは、2012年の「在留カード制度」が始まってからだ。これ以前は、仮放免の立場でも外国人登録証という身分証を持つことはできた。しかし仮放免者の管理を、市町村ではなく入管が一括で行うことになった。これによって身分証が持てなくなった彼らは、自分を証明するものがなくなってしまった。住民票がなければ当然、保険証を持つことすらできない。 「自分たちは日本にいるのに、いないみたいで、まるで幽霊のようだ」と落胆する声は多かった。  ビザを持たない子供たちが背負う苦悩は、まだまだこれだけではない。  子供が保険証を持てないということは本当に残酷だ。親は働くことを許されず、当然、貧しい生活を送っている。子供の体調が悪くても、ある程度なら病院に連れて行かずに我慢させてしまう場合もある。  スリランカ出身で難民申請中のジョージさんには日本生まれの娘がいる。生まれた当初は入管により「仮滞在」とされていたが、2歳になったころには「仮放免」にされてしまった。仮滞在はビザ(在留資格)ではないが、難民申請の審査のため一時的に合法的在留を認める制度で、保険証を持つことだけはできた。しかし仮放免は「合法的在留を認めない」という意味なので、公的保険にすら入れない。  日本で生まれても半年の特定活動ビザをもらう子供はいるが、その基準はあまりにも恣意的であいまいだ。半年のビザをもらったからといっても、それがいつ入管に取り上げられ、仮放免になるかわからない。すべては入管の裁量にゆだねられる。せめて日本生まれの子には国籍、それが無理でも何らかの安定したビザを与えてほしい。 「いくら外国人でも子供は子供でしょ? 日本で生まれているけど住民票がなくて、子供小さいから病気はいっぱいあるよ。一回、病院にかかれば(保険証がないから)1万円くらいかかるよ。市役所に保険証をもらえるようにお願いをしたが『できない』と断られた」  ジョージさんは、やりきれない思いで語ってくれた。

都道府県を越える移動には許可が必要

スリランカ人のジョージさん(右)。左は通訳のダヌカさん

スリランカ人のジョージさん(右)。左は通訳のダヌカさん

 子供すら入管の許可を取らなければ自分の住んでいる都道府県県以外への移動はでない。入管の許可なしに仮放免者が都道府県を越えたと発覚した場合、入管は「許可条件違反」だといって仮放免を取り消し再収容することができる。今年3月に難民と認められずビザを失ったクルド人のトゥンチュさんは不安そうに語る。 「入管に、子供も自分の住んでいる県から出るのには許可が必要だと言われた。学校では県外への遠足や旅行がある。そのたびに東京入管まで出向くのは非常に不便だし、そんなことをもし学校に知られたら『あの子のお父さんはいったい何をした人なの?』と変に思われてしまう」  当然、「友人と遊びに行く」などの理由では許可など下りることはなく、不便な生活を強いられるしかない。
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