ウクライナ避難民8人が日本に。一方で“難民”を収容所にブチ込んでいる実態をどうするのか
3月2日、岸田文雄首相は「ウクライナからの避難民受け入れ」の方針を示し、3月8日時点で避難民8人の入国が明らかになっています。
しかし、避難民から「難民申請」があったらどうするか、など対応は決まっていません。日本は極端に「難民認定」が少なく、認定されない外国人たちが、入国管理局の収容施設に入れられてひどい扱いを受けていることが問題となっています。
牛久』が公開中です(シアター・イメージフォーラム他、全国順次公開)。牛久は、在留資格がない、または在留資格の更新が認められず国外退去を命じられた外国人を“不法滞在者”として強制的に収容する施設のひとつ。トーマス・アッシュ監督は、2019年秋から牛久入管での面会活動を開始。その後、隠しカメラで収容された外国人との面会時の様子を記録し、映画にしたのです。前編に続き、トーマス監督に話を聞きました(後編)。
【前編を読む】⇒「自殺未遂をくりかえす外国人も」牛久入管での虐待を、隠しカメラが捉えた
――日本における難民認定はここ数年は40人台で推移していますが、各国に比べて非常に低い数字になっており、国連からも問題視されています。難民申請した後の審査手続についてはどのような形で行われるのでしょうか。
トーマス・アッシュ監督(以下、トーマス):難民申請をしている人たちに話を聞くと、難民調査官からは、まず「あなたは難民ではない」という前提で色々と聞かれるということでした。自分たちの話を本当に理解しようとしてくれているのかと。また、申請が棄却されても、詳しい理由は教えてもらえない。「~の事情を認定するための証拠が足りなかった」というようなことは教えてもらえないそうです。
また、入管に収容されてしまったら、情報を集めることもできません。イギリスの収容所ではインターネットを自由に使うことができ、自分で情報を集めることも、家族や友人や、自国にいる人に資料を作ってもらったり、送ってもらうこともできます。ですが、日本では難民の証拠を出してくださいと言われても、簡単にそれができないんです。
ちなみに、イギリスは収容施設内に弁護士やNGOなどのパンフレットが置いてあって、リーガルサポートを受けたい人に対して情報開示がされています。一方で日本では知識が十分でないまま収容されてしまい、収容施設の中の口コミや面会ボランティアからの紹介で、ようやく弁護士やNGOからの支援を受けた人たちもいます。
――昨年5月に「3回以上の難民申請があった場合には強制送還の停止効を削除する」などの内容を盛り込んだ改正入管法が提出され、廃案となりましたが、日本に滞在したいために難民申請をする「偽装難民」を排除することが目的と言われています。
トーマス:どのような難民認定の制度が望ましいか、難しい質問だと思いますが、まず3つのことをするべきだと思います。まずは「平等」に、そして「クリア」に審査すること。そのためには、難民であるかないか、その判断の基準を明確にすることが必要です。
あとは「タイムリー」に。難民認定の審査期間機関がおよそ半年間とされている諸外国に比べると、この結果は長過ぎる。こんなに何年間もかかってしまうと、その人は長い時間を日本で過ごすことになる。そして5年後、10年後に国に帰れといわれても、もう自分の国に居場所はなくなってしまいます。
そんななか、東日本入国管理センター(茨城県牛久市)の実態を記録した映画『
アンフェアな難民認定手続
「真の難民」を救済するために
ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。
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