デジタル

猫もだまされる猫ゲー『Stray』はなぜ大ブレイクしたのか?

SNSでバズったリアルすぎる猫ゲー

Stray

スマッシュヒットを記録し世界中から注目される猫ゲー『Stray』公式サイト

『Stray(ストレイ)』というゲームをご存じでしょうか。『Stray』はフランスの少人数インディーゲームスタジオ「BlueTwelve Studio」が開発したSFアクションアドベンチャーで、7月19日にPS4、PS5、PC(Steam)で配信されるやSNSで一気に火が点きました。Steamのユーザーレビューでは、最高評価に当たる「圧倒的に好評」に位置し、なんとレビューの97%が好評をつけています。今回のコラムではこの『Stray』の魅力に迫っていきたいと思います。

猫の自然な動きにリアル猫も反応!?

Stray

名もない野良猫がサイバーシティをさまよう

 なんといっても『Stray』の売りは、猫のナチュラルなかわいさ。ロボットだけが暮らす奇妙なサイバーシティに迷い込んでしまった1匹の猫が、そこで出会った小型ドローンの力を借りて故郷へ帰ることを目指します。爪をといだり、ボールを転がしたりと猫の挙動は驚くほどリアル。「本当に猫っぽい動きをするので楽しい」「猫ちゃんにめっちゃ癒やされた」「猫が好きなら神ゲー」などの絶賛が相次いでいます。  家で飼っている猫が、『Stray』の猫の鳴き声に釣られて返事をしたり、画面を食い入るように見つめていたりする様子を撮影した動画がいくつもアップされ、そちらも話題になっています。まさに猫もだまされる猫らしさといったところでしょうか。  これまでも猫を主人公にしたゲームはいろいろとありましたが、多くはゲームということでキャラ化されたものや、リアル系であっても猫の動きがデフォルメされたものが大半でした。この『Stray』はゲームという枠を守りながら、リアルさにも強いこだわりを持っています。 「クリエイターよりも猫の数が多い」というBlueTwelve Studioの猫好きチームが制作した『Stray』。飼い猫をモデルにし、「四足歩行の動物をアニメーション化するのでさえ非常に難しい」「猫の微妙な動きは信じられないほど精密」という高いハードルを越え、猫の動きを丁寧に調整したそうです。 「小さなジャンプや動きの変化を繰り返し微調整し、素晴らしいアニメーションと楽しくて反応の良いゲームプレイの間の完璧なスイートスポットを探しました」と制作者(「PlayStation.Blog」より)。  主人公であるということは入力した操作が反映される、いわばプレイヤーの分身。ストレスなく操作できる分身と、外側から愛でる対象としての猫。そのバランスを取り、どちらも兼ね備えているのが『Stray』の巧みさといえるでしょう。
次のページ
サイバーパンクと猫の組み合わせも魅力
1
2
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ