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岸田内閣の運命は、後継の日銀総裁人事で決まる/倉山満

雨宮副総裁、中曾前副総裁を総裁にしていいのか?

 専門家の間でも「さすがに黒田総裁の路線をいきなり変えはしまい。特に雨宮さんなら」との楽観論が流れるが、何の根拠もない。  4年前、黒田総裁再任の際、枝野幸男代表率いる立憲民主党は、政府が提示した黒田総裁と若田部副総裁の人事には反対しながら、雨宮副総裁にだけは賛成した。当時の立憲民主党の中は「雨宮さんなら金融緩和を止めてくれる!」とのかすかな願いから、このような投票行動に至ったのだとか。  立憲民主党や枝野幸男を愚かだと笑うのは勝手だ。ならば、その立憲民主党や枝野幸男が推した雨宮あ副総裁、さらに金融緩和に批判的だとされる中曾前副総裁を総裁にしていいのか?  雨宮・中曾いずれが総裁になっても、今回の財務省は副総裁の確保に集中している。政治介入を排し、たすきがけさえ復活すれば、5年後には総裁の椅子が手に入るのだから。

官僚に生殺与奪の権を与えるな

 かつて日銀総裁は事務次官経験者の最高の天下り先とされ、「ロイヤルロード」と称された。主計局長は予算を司るポストで財政畑、金融は国際局(最高位は財務官)の管轄なのだが、専門性など関係ない。財務官出身の黒田総裁の誕生で、麻生太郎首相秘書官から財務官に上り詰めた浅川雅嗣アジア開発銀行総裁が副総裁の最有力候補とされてきた。しかし、人事は一筋縄ではいかない。  国内で人脈がある雨宮総裁なら、金融に強い財務官経験者(浅川氏のこと)、国際金融が専門の中曾氏が総裁なら内政に強い財務事務次官経験者を、との声が出始めた。そういう暗闘が官僚たちのインナーサークルで行われているので、公開情報に兆候として表れる。もしかして次期副総裁に木下康司?  官僚に生殺与奪の権を与えるな!
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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