ニュース

3年で「岸田首相より魅力的な党首」は用意できるはずだ/倉山満

大半の国民の本音は「帰ってくるな民主党」だろう

 立憲民主党の執行部人事が刷新された。岡田克也幹事長、安住淳国対委員長、大串博志選対委員長、長妻昭政調会長。泉健太代表のみ留任。これを「帰ってきた民主党」と評する人もいるが、大半の国民の本音は「帰ってくるな民主党」だろう。  週刊SPA!7月12日号で、「泉よ、絶対にやめるな!」と訴えただけに、訳の分からない人物が代表に返り咲くのを阻止できたのには安堵した。しかし、これでは「首だけ残して、胴体を全部明け渡した」に等しい。  参議院選挙の敗北を受けても、泉おろしの声は上がらなかった。代表の座をとって代わっても、党勢が拡大する見込みが無いからだそうだ。  もはや、これ以上何も言うまい。しかし他のマトモな野党、日本維新の会や国民民主党にとっては、絶好のチャンス到来ではないか。今すぐに立憲民主党の真人間を受け容れる態勢を構築した方が良いのではないか。来年4月には統一地方選挙があるから、今から準備しても遅くない。

本気で政権を担う意思すらない政党が日本の憲政を歪めてきた

 そうした中、日本維新の会が初となる代表選挙を行い、馬場伸幸新代表を選出した。私も足立康史・梅村みずほの三候補に単独インタビューを行い、全員に「単なる野党のまとめ役を選ぶのではなく、総理大臣になって何をしたいかを訴えてほしい」とお願いした。幸い、聞き届けられたようだ。
馬場伸幸氏

8月18日配信の「8.27日本維新の会代表選挙 候補者に聞く②馬場伸幸衆議院議員 憲政史家倉山満【チャンネルくらら】」にて、「政権交代可能な野党第一党を目指す」と語った馬場伸幸氏

 1955年以来、日本国民はマトモな野党第一党を持てた時期は、極めて短い。特に日本社会党となんちゃら民主党の腐敗と無能には辟易してきた。自民党がどんなにヌルい政治を行おうとも、野党第一党が頓珍漢では、選択肢がない。そうなると自民党が無限大にヌルくなり、正論が通らなくなる。そもそも、社会党、民進党、立憲民主党は、本気で政権を担う意思すら示したことが一度もないのに、野党第一党の座にしがみついてきた。この一事で日本の憲政をどれほど歪めてきたか。  だから、馬場新代表が「次の総選挙で野党第一党、次の次の総選挙で政権奪取」と具体的な目標を掲げているのは、歓迎する。少なくとも、意志は見せているし、その中長期計画も示した。

維新の独特の組織形態を見直す構造改革が必要

 だからこそ、苦言を呈する。  日本維新の会は独特の組織形態である。今までは首長が党首だった。だから、仮に衆議院で多数派になっても、党首が総理大臣になることはなかった。とりあえず「憲政の常道」に反する事態は避けられたが、見直しが必要だろう。  意思決定において、国会議員と地方議員と首長は対等である。これでは、圧倒的に数が多い大阪の地方議員が結束すれば、決まりである。今までは彼らの意向で、代表選挙も行われなかった。  その代表選挙の方式も、外部の批判を招いた。国会議員や他の政治家に加え、一般の党員も同じ一票なのだ。かつての新進党が似たような制度だったが、あまりにも無理がある。  いずれ、党規約の見直し、すなわち党の構造改革が必要だろう。
次のページ
しかし、日本維新の会には構造改革が必要な以上に問題がある
1
2
3
おすすめ記事