仕事

「街の青果店」から業界人も注目の店に。転機はサーフィン仲間の叱咤激励

フルーツパーラーを出店したことで青果店の認知拡大に

フタバフルーツパーラー

フタバフルーツパーラー 新宿マルイ本館店

 こうした成瀬さんの取り組みは、感度の高い業界人の目にも留まるようになる。  カフェブームの火付け役として知られるカフェカンパニーの代表・楠本修二郎氏と出会った際、「イベントだけでフルーツの良さを広げているならもったいない。一緒に何かやろう」と声をかけてもらい、それが2018年のカフェ業態「フタバフルーツパーラー」をオープンするきっかけになった。 「何かの機会ごとにいい巡り合わせがあるなと感じていて。それまでは銀座でフルーツビュッフェが楽しめる期間限定の『RAMO FRUTAS CAFE(ラモフルータスカフェ)』というのをやっていたんです。そんななか、楠本さんと知り合うことになり、お互い協力しながらフルーツの世界観をもっと出せるようなカフェを形にしようということで、2018年に川崎と新宿にフタバフルーツパーラーをオープンさせることになりました」  現在、フタバフルーツパーラーは首都圏のほかにも名古屋や熊本にも出店しており、計6店舗を構えている。  フルーツパーラーとして、パフェやあんみつ、サンドウィッチなどのメニューが楽しめるという。 「フタバフルーツパーラーを出店したことで、フタバフルーツ自体の認知度も向上し、フルーツ好きの方も増えているなあという印象です。また、各店舗の店長も『フルーツのことを知ろう』と一緒に青果市場へ行ったりフルーツの知識を学んだりと、ワンチームでフルーツの魅力を伝えられている実感を持っています」

華やかな裏で…青果店が抱える“葛藤”と常に向き合っている

 しかしその一方で、彩り豊かで華やかなフルーツの世界に見えるからこそ、季節ならではの忙しさや過酷さ、重労働なども避けては通れない。  そういう特殊な仕事だという自覚を、「人を雇うことであらためて思うようになった」と成瀬さんは話す。 「果物の値段が年を追うごとに高騰していたり、気候的な変化で苦労する時期もあったりと、果物屋のあり方は今でも考えているし、葛藤を抱えている部分でもあります。時代的にもスイーツブームに寄っていて、人気のケーキ店やお菓子屋には行列をなすのに、青果店は言ってしまえば果物を売るだけでは終わっている。本当にこれでいいのか。もっと生の状態で美味しいフルーツを届けられないのかと、常に自問自答しながら仕事をしている状況です」
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今年は再出発の年
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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