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若い頃は「転職の猛者」でも急に就職難に?変化が激しいシニア転職市場

もしも急に転職が難しくなったなら

 求人が増える分にはいいが、もし、自身が急にリストラされ、今までのように就職できなくなってしまったならどうすればよいのだろうか。  1つは、「職種や仕事内容の幅を広げる」という対策になる。  もちろん、これまでの経歴と違う内容を目指すと採用される確率も下がり、条件面でも不利になりやすい。しかし背に腹は代えられない。早期の内定獲得を目指すならば多少の条件ダウンを覚悟し、経験やスキルが多少でも評価される近い仕事内容に応募することが現実的だ。  例で挙げた機械設計技術者も、これまでの経験とは少し違う内容であれば求人があったが、やはり自信と誇りを持って取り組める仕事や、給与ダウンが飲めずにチャレンジしなかった。しかし、経験領域では条件ダウンどころか求人がないので、どこかで諦める判断も必要だろう。  2つ目は、「違うエリアや違う会社にチャレンジする」という対策だ。  隣の都市や県などではまだ求人があるというケースは少なくない。どうしても同じ経験領域で探すとなると、エリアを広げ、応募先を広げることは有効だ。このあたりは通勤や転居の負担と無職になるリスクとの比較になる。  また、今まで受けていなかった会社に応募することも意外と重要だ。「受けられる会社すべてに応募している」という人でも、嫌いな会社、むかし受けて落ちた会社、競合など、まだ受けていない会社があることが多い。競業避止に抵触しないならば、こうした会社も積極的に受けるべきだ。  3つ目はあまりお勧めしないなかば賭けだが、「少し待つ」という方法になる。  ニーズが一定せず急変する状況では、今はニーズがなくても回復する可能性がある。反対に待てども好転しない場合もあるが、少なくともリストラなどでなく今の職場になんとか所属し続けられるなら、まだ転職せずに待つのも一手だ。  少なくとも私たちが転職支援する場合、希望職種の求人での給与相場が、現職よりも低い時にはそれを正直に言い、転職しないほうがいいともお伝えしている。  具体的なアドバイスではないが、自身の職種の求人が減った場合に限らず、ミドル・シニアの転職では、自身の経験スキルの棚卸しをし、転職市場における自身の経験スキルの給与相場を調べ、自身が希望する条件の優先順位を意識することがもっとも重要だ。

求人ニーズの変化に臨機応変に対応

 自身が持つ経験スキルのなかには、これまでと同じ仕事でなくとも収入に結びつくものがあるかもしれない。また、すべての希望条件を満たすことは難しいが、1つ2つの条件を下げることで、主要な希望条件をクリアできる場合もある。  これまで「将来なくなる仕事」のような話題では、よく「AIに奪われる仕事」といった紹介がされていた。しかし、AIに奪われるだけでなく、国内外の社会情勢によっても大きな求人ニーズの変化が起きている。こうした社会情勢による転職市場の急変は、AI以上に予測が難しい。  予測が難しい以上、柔軟性のない長期的なキャリアプランではリスクが大きい。だから1本だけでない柔軟に動けるキャリア設計が重要になるし、転職市場の給与相場などには常にアンテナを張り最新情報をキャッチし続けるといった対策が、今後のキャリアプランには不可欠となるだろう。
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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