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どんなに喧嘩して絶交しても、おっさん同士はウンコの速さでわかり合える

ヒデさんのお腹が緊急事態に……

25034457_m「腹が痛い! やばいかもしれん!」  ヒデさんが突如として腹痛をカミングアウトしてきた。 「だ、だいじょうぶですか? なんとか中野駅まで我慢できますか?」  そう問いかけるが答えは決まっている。 「もうもたん!」  僕らおっさんはやばいとなってからが速いのだ。 「どれくらいやばいですか?」  僕の問いにヒデさんが苦悶の表情で答える。 「UNOって宣言するくらいやばい」  ラス1じゃねえか。もう切羽詰まっているじゃねえか。これはやばい。  完全に駅まで持たない感じだ。よしんば持ったとしても、駅のトイレは往々にして個室が満員ソールドアウト状態だ。ほぼ確定的に漏らすことになってしまう。  普通ならそのへんのカフェとかパチンコ屋に駆け込むべきなのだけど、早朝という時間ではそれらはほとんど期待できない。なんとかヒデさんの脱糞を回避しようと考えに考え抜いた。そして一つの結論に行き着く。 「タツヤさんの店に行きましょう」  たぶん、それがいちばん脱糞を回避できる可能性が高い。

脱糞を回避するために我々が取った策は

「冗談じゃねえ。あいつの店に行くくらいならここでしてやる!」 「それはガチでやめてください! いいですか、こんな言い争いをしている時間すらもったいないんです。行きますよタツヤさんの店へ」 「お、おう……」  僕の迫力にしぶしぶ了承したヒデさん。なんとか二人で命からがらタツヤさんの店へと到着した。  タツヤさんは店が終わり閉店準備をしていたのか、入口のところに立っていた。おしゃれな店を経営しているだけあって、けっこうオシャレな感じのナイスミドルおっさんだ。 「すまん、トイレ貸してくれ」 「おう、まかせろ!」  そこに言い訳や釈明、謝罪などは存在しなかった。ただトイレ貸してくれだけ気持ちを伝え、それで全てを察し、仲直りをする、そういうおっさんならではの言葉を超えた何かがあった。  トイレの個室からはヒデさんの、かなり水っぽい何かが出ている音が景気良く聞こえていた。けっこう狭い店で、誰もいないので音が良く聞こえる。 「なんかね、ヒデさんも僕も、やばくなってからのウンコが速いんですよ。おっさんになると」 「わかる」  タツヤさんと僕は初対面だ。初対面でいきなりウンコが速いという謎会話を展開し、分かりあえてしまうところがおっさんたる所以だろう。
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おっさん二人がガチで喧嘩した理由とは 
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