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カタールの日本人人気が止まらない。スペイン戦後ヒートアップ、四方八方から祝福が

「ワァ!スゴイ!カッコイイ〜!」

日本代表 サポーター

写真/日本雑誌協会

 カタール人に限っては、あまり外国人と交流しない(単に彼らが自家用車移動で、公共交通機関を使ったり、記者が居住するコンテナ宿のような僻地にいないからかもしれない)ように感じるので、料理店で若者から直接声を掛けられたときには驚いたものだ。 「Japanese?」 「Yes.」 「ワァ!スゴイ!カッコイイ〜!」  カタールはアジア予選でしのぎを削ってきたこともあるのだろう。自国が開催国としてW杯史上最速の敗退を喫したからかもしれないが、優勝経験国2国を破って決勝トーナメントに進出した日本を称賛してくれる。  どちらかと言えばブラジル、アルゼンチン、スペイン、ドイツなど優勝経験のある強豪のサッカーにしか興味のなかったカタールの人には、日本の”逆転のサッカー”は強烈だったらしく、「スゴイ!」や「メッチャ!」とか、ネイティブ話者が話す日本語で声を掛けられることも増えてきた。記者が過去に参加したブラジル、ロシア大会では「コニチワ」「ドモアリガト」が隆盛だったから、そのネイティブ感に動揺することもしばしば。

アニメ世代が関心を持ってくる

 どこでその日本語を覚えたの? と聞くと100%「マンガ」である。こちらでは『ドラゴンボール』『ワンピース』『NARUTO』『鬼滅の刃』などがアニメとして見られていて、そこで覚えた言葉を日本人に伝わるか、チャレンジしてやろうという気配すら感じるのだ。

スペイン戦が行われたカリファ国際スタジアムから市内に中心部に戻るメトロ車内。外国人による祝福と、「ジャパン、ジャパン!」のコールが鳴り止まなかった

 ただそれでもカタール人との交流は多くない。過去大会はその国の人と酒場、レストランで、試合会場で、サッカーを肴にじっくりいろんな話ができた。例えばブラジルではそのときの日本代表・本田圭佑の「ホンダ」からバイクやクルマの話、ロシア大会では若者とはアニメや音楽、年配者とは過去の戦争から軍事の話などをしたものだ。その機会が、場所があまりにも少ない。なぜなら旅行者が最初に接触する、ホテル、駅、レストランなどで働く人がほとんど「外国人労働者」だからだ。

カタール人女性との交流は困難

 カタール人女性との接触は皆無だと言っていい。一度だけ試合会場で、アバヤという真っ黒な顔まで覆ったローブを着た、若い女性3人組から声を掛けられ写真に収まったが、かなりレアなケースだろう(女性がほとんどいないのでかなり動揺した)。とにかく彼女たちは昼間外を歩いていないし(いても家族連れ)、大会中、他国の男性と立ち話をしているところなど見たことがない。  残念ながらこのカタール大会、カタール人とのふれあいは決して多くない。アジア代表として日本代表には少しでも長く、この地に留まってもらって、カタール人の関心の度合いを増やしていただけるよう祈るしかない。サムライブルーを着て、カタール人からもっと記念撮影をせがまれたいのだ。 取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)
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