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秋ドラマ終盤「コア視聴率」BEST10。『silent』のホントの評価は

世帯視聴率はひと昔前の指標

テレビを見る三世代家族 世帯視聴率は2020年4月以降、テレビ界では実務で使われなくなった。NHKでは業務報告書などの公的書類から、その言葉自体が消えたし、日テレ内では全く口にされず、TBSの決算資料にも記載されなくなって久しい。なぜ使われなくなったかというと、理由は明快。世帯視聴率は観ている人の人数すら全く分からない。おまけに高齢者(65歳以上)が好きな番組ほど高視聴率になってしまうという致命的な欠点がある。  世の中には1人住まいもあれば、6人家族もある。ところが、世帯視聴率はこの2つの家が同じチャンネルに合わせたら、100%になってしまう。6人家族の側は1人しかテレビを観ていないのかも知れないのに。それが世帯視聴率の持つ危うさである。  また、1世帯当たりの平均人数は1980年に3.22人だったのに対し、2020人は2.49人に減った。誰か1人でも観ていたらカウントされる世帯視聴率が年々、下がり続けるのは当たり前なのだ。だから、過去の世帯視聴率との比較はまったく意味を持たない。  さらに高齢者のいる世帯は1980年には全体の約25%だったものの、今は50%。しかも、総務省の2020年の調べによると、30代が平日にテレビを観る時間は平均約2時間15分だが、60代は平均約4時間31分も観ている。  数が多い高齢者ほどテレビを観ている。これでは高齢者が好む番組ほど世帯視聴率が高くなる。二重三重に世帯視聴率はデータとして危うく、テレビ局もスポンサーも使わなくなるのは当然なのだ。  一方、個人視聴率は文字通り個人単位(4歳以上)で測定する。だから「全体の何%の人がその番組を観ていたのか」が正確に分かる。視聴者の性別、年代、人数などまで出る。  新聞や雑誌の記事で、単純に「個人視聴率」と記されていたら、4歳以上の何%がその番組を観ていたのかを表す。だから「個人全体視聴率」とも呼ぶ。個人視聴率のうち、13歳から49歳までを切り取ったのが、コア視聴率だ。  世帯視聴率など各局は最初から念頭になく、また大半のドラマが高齢者向けではないから、コア視聴率の結果を注視する。

秋ドラマ終盤のコア視聴率BEST10

 秋ドラマ終盤のコア視聴率ベスト10を記したい(12月5日~12月11日) ① 『silent』(フジ) コア5・1%、個人5・2%、世帯8・9% ② 『日曜劇場 アトムの童』(TBS) コア3・7%、個人6・0%、世帯10・2% ③ 『クロサギ』(TBS) コア3・2%、個人4・3%、世帯7・7% ④ 『PICU』(フジ) コア3・0%、個人4・3%、世帯8・5% ⑤ 『エルピス—希望、あるいは災い—』(関西テレビ、フジ系) コア2・4%、個人3・6%、世帯6・6% ⑤ 『君の花になる』(TBS) コア2・4%、個人2・8%、世帯5・0% ⑤ 『invert 城塚翡翠 倒叙集』(日テレ) コア2・4%、個人2・7%、世帯4・7% ⑧ 『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(日テレ) コア2・3%、個人3・2%、世帯5・3% ⑨ 『ザ・トラベルナース』(テレ朝) コア2・1%、個人7・1%、世帯12・9% ⑩ 『相棒』(テレ朝) コア2・0%、個人7・1%、世帯10・5% (ビデオリサーチ調べ、関東地区)
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恋愛ドラマにする気はさらさらない『silent』
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