更新日:2023年08月30日 20:29
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道路との境目が見えず事故が相次ぐ「人食い用水路」。昨年も女性が転落死

大都市の地下に走る“古く脆すぎる”水道管問題

大阪府大阪市・東京都狛江市
インフラ

復旧作業中にぽっかり開いた道路の穴に、重機がはまるトラブルも。断水はなかったのが、不幸中の幸いだった

水道管の劣化も都市部を中心に深刻さを増している。なかでも特筆すべきは水道管の老朽化率が52%と突出している大阪市。これまでにも東住吉区の地下・駒川中野付近で水道管が破裂。午前5時に1200㎡の範囲が泥水につかり、道路は冠水。交通規制が敷かれ、辺りは一時騒然となった。 近くの住民や、飲食店のスタッフは、「店に入ってきた泥水をモップやバケツでかき出すのが大変。道路にも大きな穴が開いていました」「大阪はよく水道が弱い、古いって言われるけど、まさか自分のところも関係あるなんて思わなかった」と、当時の心境を振り返る。

本当に工事が必要なのは水道が整備された初期の鋳鉄管

水道事業のマネジメントを専門とする、近畿大学経営学部の浦上拓也教授は、「老朽化した水道管にも、設置された時代や材質によって、危機的な状況のものとそうでないものがある」と語る。 「今本当に工事が必要なのは、水道が整備された初期の鋳鉄管。老朽化するとより劣化が激しくなる材質で、割れやすい。土壌の腐食性や環境によって差はありますが、これが使われている地域はいつ事故が起きてもおかしくありません」 大阪市内の水道管は、市内全体でこの鋳鉄管が401km残っており、その8分の1は水道を支える重要な管路である基幹管路に使われている。駒川中野で破裂した水道管も鋳鉄管の基幹管路だった。そんな状況に直面する大阪市水道局にも当面の方針を聞いた。 「鋳鉄管はどこかに集中的にあるのではなく、市内各所に点在している状態です。地震時の被害率が高い管種でもありますので、優先的に更新を進めています」
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63年前に敷設されたまま放置されてきた水道管
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