更新日:2023年02月24日 11:53
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流行語に「知らんけど」がトップ10入り。なぜ関西弁は全国的に好まれるのか

ネットと相性が良い?

岸江氏

『応用社会言語学を学ぶ人のために』(世界思想社)の著者で、奈良大学文学部国文学科教授の岸江信介氏

 ネット上のコミュニケーションも、エセではあるものの、関西弁が使われる傾向について、「ネット掲示板で関西弁が定着した背景として、共通語オンリーで進めるのではなく、『変化を持たせたい』という意図の現れではないでしょうか」と分析。  ネットと関西弁で言うと、最近は海外潜入系や旅行系のYouTube で外国語を発する外国人の字幕に「〜やで」「ワイ」といった関西弁を使用するケースも珍しくない。なぜ字幕としても人気なのか。 「これも共通語では表せない、外国人の話し言葉をあえて関西弁で表現することにより、緩急をもたらすことができるからかもしれません。逆に言えば、共通語ではあまりにも陳腐というか、代わり映えしないため、あえて関西弁で字幕を付けたものと思います」 

お笑いに有利な理由

 また、お笑いコンビ・ナイツの塙宣之は自身のYouTubeチャンネルにて、「関西弁は初速が早い」「関東弁は怖く見える」など、お笑いにおける関西弁のアドバンテージを語っていた。漫才やコント、お笑い番組における関西弁が持つ特性・強味を「“笑い”に達するスピードは、ボケからツッコミへのギアチェンジであり、『いかにこの動作を瞬時に行うか』が重要です。確かに関西弁の場合、“笑い”に到達する早さは関東弁に比べて著しく早いですよね」と回答。 「また、ボケからツッコミの掛け合いを好む関西人が使用する言葉だからこそ、“関西弁それ自体が面白い”という認識が根付いたからではないでしょうか。実際、『関西弁はなぜ面白いのか?』と学生に聞いてみたところ、『一般の関西人は面白い人が多い』という声もあり、その人自身のセンスと言うよりも、関西弁を使用していることの影響が大きいように思います。  一方、関東ではこのようなボケとツッコミの掛け合いの文化がなく、面白いイメージがつきにくい。加えて、表現のバリエーションが少ないです。例えば、『なんでなん!?』『なんでやねん!』などに対応する表現としては『何でだ!』しか浮かびません。そのため、『関東弁は怖く見える』と思われやすくなります」
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関西弁が全国的に広がり続けているワケ
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フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

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