エンタメ

本田圭佑の「両手に腕時計」を“アリ”に。伝説のスタイリストが語る「第一印象の大切さ」

 FIFAワールドカップカタール2022で日本はベスト16という結果を残した。今回は本田圭佑がABEMAで解説を務めて大きな話題を呼んだ。そんな彼はプレースタイルだけではなく、「両手に腕時計」など、独特のファッションも注目されてきた。 「2013年に彼が長男を抱えて成田空港に姿を見せた際や、両手に腕時計をはめるコーディネートも、私がスタイリングを担当していました」  こう話すのは、スタイリストの近藤昌さん(67歳)だ。
近藤昌

企画制作会社「TOOLS」の代表を務めるスタイリストの近藤昌さん(67歳)

 サッカー選手などのアスリートや芸能人・モデル、企業の経営者など、表舞台に立つ人たちのイメージに合わせた衣装を選び、個性を引き立てるのが「スタイリスト」の仕事。  TPOを意識しながらもカラーリングやブランドのチョイスなど、随所にセンスを光らせる。トレンドを見極める感度の高さも求められるだろう。近藤さんは、本田圭佑をはじめ、音楽プロデューサーの松任谷正隆、経営者の前澤友作など、数多くのスタイリングを手がけてきた。  かつてはジャニーズ事務所に所属し、その後は日本初のセレクトショップの立ち上げやクラブの運営に参画。時流を読み解く感性や審美眼など、まさに“伝説”とも呼べる存在として業界人には知られている。  さまざまな業界を渡り歩いてきた半生や、常に時代の最先端を掴む仕事術について、近藤さんに話を聞いた。

ジャニー喜多川からエンタメの英才教育を受ける

 近藤さんの幼少期は東宝芸能学校に通いながら、舞台や芸能などのオーディションへ参加し、子役として活動していたという。そこは「世の中の縮図」だったと話す。 「小学校の頃から、大人の縦社会をすでに体験していました。年齢問わず、先輩の言うことは絶対だったので、とにかく先輩への気配りや礼儀は欠かさずに生活していたんです。加えて、エチケットやマナーについても厳しく言われまして、例えば食事をする際は肘をつくな、音を出すな、人が嫌な思いをする食べ方はやめろなど、徹底的に叩き込まれましたね」  中学2年生の頃、先にジャニーズ事務所に所属していた友人から「ジャニーズに入らないか」と言われたのをきっかけにジャニー喜多川さんと出会い、ジャニーズ事務所へ。  フォーリーブスの弟分となるグループで、8年ほどアイドル活動を経験する。 「当時、ジャニー喜多川さんに可愛がってもらいながら、エンタメの英才教育を受けていました。自分が子役の時は社会の縮図を学び、ジャニーズではエンタメを学ばせもらったことが、今の私の原点になっていると言えるかもしれません」

ファッションに目覚め、芸能からアパレル店員へ転身

 その後、フォーリーブスのメンバーが着こなすファッションに興味を持ち、「その服、どこで買ったの?」と聞いたりしながら、ファッション好きが足繁く通うお店に出入りするようになる。  当時は、グループサウンズブーム全盛期だったが、アメリカ発のAOR(Adult-Oriented Rock)というジャンルが好きだったとか。 「AORのレコードを見ていると、日本では見たことのないファッションに身を包んだ、どこか異国情緒なスタイルがかっこよくて。情報筋をたどっていくと、どうも上野のアメ横で売られていることがわかったんです。ミウラというお店なのですが、しばらく通っているうちにスタッフと仲良くなって。『そんなに服が好きなら、アルバイトとして働きなよ』と言われ、店頭に立つようになったんです」  ミウラというお店はセレクトショップ『SHIPS』の前身で、近藤さんはそこで経験を積んだのち、渋谷の道玄坂に出店した2号店「ミウラ&サウンズ」の店舗運営を任せてもらうように。
次のページ
“服を売らない店員”としてカリスマ性を発揮
1
2
3
4
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

記事一覧へ
おすすめ記事