エンタメ

“綾瀬はるか主演作”の人気漫画家が明かす、地元で歩む“音声配信者”としてのキャリア

「干物女」現象、綾瀬はるかに感謝

ひうらさとる――漫画を執筆された際の「蛍」のイメージと、実写化で「蛍」を演じた綾瀬はるかさんのイメージにギャップは感じられましたか? ひうら:確か、ドラマのPart1の時には、綾瀬さんはまだ24歳で、主役を初めて務められていたんですよね。とても無邪気な可愛らしいイメージがありましたし、誠一役を演じられた、藤木直人さんはカッコ良すぎるし、漫画を描いているときのイメージとはギャップを感じました。プロデューサーさんから、この2名のお名前をいただいたとき、「私はもちろんいいですけど、向こうに申し訳なくないですか?」と言った記憶があります(笑)。  その後、実際に綾瀬さんが「蛍」の姿になったドラマのイメージカットが上がってきて、ものすごく汚い部屋に、綾瀬さんがジャージでいる写真だったんです。もちろん、漫画で描いているカットと同じなのですが、それは白黒の漫画の画だから成り立つものだと思っていました。  実写になると強烈なイメージだろうなと思っていたところ、やはり部屋のセットは強烈だったんですが、その中で綾瀬さんのような可愛らしい女性が「蛍」を演じることで起きた化学反応で、「干物女って面白いね」という現象が起きたんですね。今も綾瀬さんに演じてもらえて良かったな、と思っています。

連載を多数抱えたことで「雑になった時期も」

ホタルノヒカリ

「ホタルノヒカリ」©ひうらさとる

――そんな大ヒットを生み出してきたひうらさんですが、漫画家としてのキャリアで悩まれたことはあるんですか? ひうら:高校生の時に、漫画家を仕事にしたいと思った時から、大ヒットを生むより、毎月淡々と仕事を進めていきたいと思っていて、常に連載を持つように努力していました。漫画は評判が悪くなるとすぐ打ち切りになってしまうので、その気配が出てきたら、新しい企画をすぐ持ち込むようなことをしてきて、当時は生き残ってましたね。  しかし、30代の時にものすごく多くの連載を持つ時期があって、作品が雑になってしまって、その反省から、仕事はある程度に絞るなど、いろいろと試行錯誤していました。自分が、どの方向に向かえばいいのかわからない、正解がわからないという悩みがありましたね。  多い時には3、4本連載をしていたこともあって、いろいろなテーマを描きました。そうすると、自分が次、何を描けばいいかわからなくなってくるんです。キャリアが長くなればなるほど、「これ前も描いたよな」ってことが起こる。 ――一度描いたものはもう描きたくない? ひうら:そこに意味があったらいいんですが、惰性で描いてるなと思ったら、自分自身が面白いと思えないので。ただ無意識で、過去に描いたものを描いてしまうことがあって、完成後にそれに気づくととても後悔するんです。
次のページ
「西園寺さんは家事をしない」誕生のきっかけ
1
2
3
4
5
おすすめ記事