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森保監督の続投は正解だったのか。継続路線に見る「説得力のある主張」

世界で戦うために必要な「使い分け」

 また、守備に関しては「使い分け」が必要と主張している。 「ワールドカップで勝っていくために、日本が日本の良さとして持つ相手が嫌がる粘り強い守備というところは必要だと思います。そのうえで、ブロックを作って粘り強く守備をするということと、攻守が切り替わった瞬間に高い位置から相手のボールを奪うというところを使い分けられるようにしたいと思っています」  こちらもこれまでと同様で、相手、試合状況、試合展開、時間帯などによって戦術を使い分けられるようになることを目指している。

主張には説得力があり、続投した効果が見えた

 森保監督のコメントから、カタール大会での反省を踏まえて次に目指すべき姿を定めたことがわかる。それはこれまでの日本代表と違いきっちりとPDCAができており、指揮官を続投した効果のひとつと言える。  また、主張する内容についても説得力があった。識者によっては、自分たちで主導権を握るためにボール保持率を上げるポゼッションサッカーを目指さなければならないと主張する人もいる。それは極論であって、世界トップの主流は、ボールを保持する時間を長くするポゼッションサッカーも、素早くゴールへボールを運ぶカウンターサッカーも両方を高水準でできる。まさに、相手や状況に応じて使い分けられるようになることが、次のワールドカップで勝ち上がるために必要なことになる。  カタール大会ではその使い分けがうまくはまらず、クロアチアに敗れたわけだが、森保監督は4年間で個と組織の両方の質を上げることで勝てるという結論を導き出した。  その戦術の使い分けは、やはり相手ありきのこと。ドイツやスペインのように個で優れた選手が多い場合は、後方に引き人数を割いて守備を固めることになる。一方、コスタリカのような相手には、自分たちが主導権を握ってボールを支配する展開になる。
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ウルグアイとコロンビアは「これ以上ない相手」
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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