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安倍政治を検証した『妖怪の孫』。現役官僚たちの“叫び”がリアルだった

「反日的な」統一教会と組む理由

鈴木エイトさんと古賀さん

鈴木エイトさん(写真左)と企画プロデューサーの古賀茂明さん ©︎2023「妖怪の孫」製作委員会

――鈴木エイトさんが登場しますが、安倍政権を検証する上で、やはり統一教会の問題には触れざるを得なかったのでしょうか。 内山:統一教会と自民党の関係は、安倍さんの祖父に当たる岸信介元首相の時から始まっています。そして、その関係が孫の安倍さんの代まで続き、しかも、それが隠されようとしている。そのことはきちんと取り上げたいと思っていました。 最も私が知りたかったのは、なぜ自民党、いわゆる保守の人たちが「反日的な」統一教会と手を組むのか、です。なぜ「反共」というだけでつながれるのだろうか、なぜ天皇陛下を「悪」と呼ぶような宗教団体と自民党なり右派の人たちがくっつくのか、全くわからなかった。その本質的な部分はどのメディアも伝えてくれなかったので、それがずっと気になっていました。右派と言われる人たちの実像が見えなかったというか…。 そこはどうしても聞きたかった。そして、その答えは、劇中でも紹介されますが、一水会代表の木村三浩さんが教えてくれました。

現政権が目指すものは

――なぜ、今のタイミングで、この映画を公開するのでしょうか? 内山:この映画を見ることによって、現政権がやろうとしていることの背景や大きな狙いが見えて来るのではないかと思ったからです。安倍政権が岸田政権にどれほど影響を与えているか、与え続けているかーー例えば、LGBTQ政策が進まないのも、原発運転期間の延長と新増設を進めるのも然り、もっと怖いこともあるかもしれない。「最終的に何をしようとしているのか」という目的が見えてくるのではないでしょうか。 特に昨年末から今年にかけて、防衛費倍増などの閣議決定が続き、就任当初掲げていた「丁寧な説明」「丁寧な対話」もなく、安倍元首相すら決断しなかったことが次々と実現されようとしています。まさに歴史の転換点と言ってもいいでしょう。そして、メディアはこの異常な事態を客観的な視点で大きく伝えているとは言えません。 強権的な物事の進め方をはじめとする安倍政権の手法を見ることで、現政権が見えて来ると思います。少子化対策、増税など目先のことに捉われがちですが、もっと引きで見ると、安倍元首相が暗殺という形で亡くなってしまったことで、首相在任時のルール無視のやり方は検証されておらず、歯止めが利かなくなっていることがわかるのではないかと。
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ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。

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「妖怪の孫」
新宿ピカデリーほか全国順次公開
企画:河村光庸
監督:内山雄人
企画プロデューサー:古賀茂明
製作:「妖怪の孫」製作委員会
制作:テレビマンユニオン
配給:スターサンズ
©︎2023「妖怪の孫」製作委員会
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