ニュース

高市早苗氏と小西洋之氏「行政文書」対決に感じた5つの違和感/倉山満

小西文書はどのような経緯で手元に渡ったのか

 第三が、現用と非現用だ。効力があるのが現用、なくなると非現用。「文書」も、現用の場合は「ぶんしょ」と読み、非現用だと「もんじょ」と読む。「古文書」は「こもんじょ」と読み、絶対に「こぶんしょ」とは読まない。現用だと「資料」、非現用だと「史料」を使う。合わせて「史資料」とも。もっとも最近は、両者を区別せず「ぶんしょ」「資料」を使うので混乱が激しいが。今や「歴史資料」のような語義矛盾の語も存在するようになった。  さて、小西議員の持ち込んだ行政文書。どのような伝来の素因で小西議員の手元に渡ったのか。現用の公文書を持ち出したとしたら、違法性が問われる。あるいは既に非現用の文書ならば、どのような経緯で小西議員に渡ったのか。やはり問われるはずだ。

様式の検証を抜きに中身の話をしても混乱するだけ

 ここで難しいのが、第四。公文書と私文書の区別だ。明治以来、日本の官庁では風呂敷残業が常態化している。国立国会図書館の憲政資料室は政治家や官僚の私文書(しもんじょ)を収集する機関だが、現用段階では公文書(こうぶんしょ)だった史料が山のようにある。公文書の私文書化だ。公文書管理改革で風呂敷残業は禁止されたことになっているが、リモートワーク全盛の現在、在宅でダウンロードすれば持ち出しを防げるのか。  最後に、「史料価値」。中身だ。様式(フォーマット)の検証を抜きに中身の話をしても混乱するだけでは?と違和感が残る。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

噓だらけの日本古代史噓だらけの日本古代史

ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作は、日本の神話から平安時代までの嘘を暴く!

1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ