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同性婚をやりたいなら、堂々と憲法改正を訴えよ/倉山満

日本国憲法第24条をどう読めば、同性婚が可能なのか

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これのどこをどう読めば同性婚が可能なのだろうか

 日本国憲法第24条のどこをどう読めば、同性婚が可能だと言うのか。憲法学者を自称する論者の中には、第1項の「両性」を「両者」と読み替えるべきだと主張する人もいる。では、「夫婦」はどうなる?  日本語を変える気か?  私はここで、同性婚に賛成か反対かを論じるのではない。私は当事者ではないので、賛成も反対も無い。問題は、賛成反対の前に「解釈改憲による同性婚の容認」は認められない、と言っているだけだ。

「憲法改正により同性婚を認めよ」と主張すれば良い

 思い出して見よ。平成27(2015)年のバカ騒ぎを。当時の安倍晋三内閣は、憲法9条の解釈変更により集団的自衛権を容認すると宣言した。これに護憲派を自称するリベラル勢力が大挙して結集、猛烈な反対運動を繰り広げた。その時の主張が、「内閣法制局が戦後一貫して守ってきた憲法解釈を変えるな」だった。当時、「解釈改憲を許さない」と主張した人々が、己の過去をなかったかの如く、解釈改憲により同性婚を認めよと言い出している。憲法9条の解釈改憲にも相当の無理があったが、憲法24条の解釈改憲は不可能だ。 「同性婚」の見出し だったら、いっそ「憲法改正により同性婚を認めよ」と主張すれば良いではないか。何か不都合でもあるのか。意味不明なご都合主義を唱えるから、マイノリティーは多数の日本人から支持されないのだ。

帝国憲法と現行憲法の解釈改憲は、似て非なる

 我が国は近現代史において、解釈改憲によって憲法政治を運用してきた。大日本帝国憲法は敗戦まで一文字も変更されることはなかったが、大きな運用の変更は存在した。同じく日本国憲法も今に至るまで誤植を含めて一字一句変更されたことがないが、運用は大きく変更している。しかし、帝国憲法と現行憲法の解釈改憲は、似て非なる。そもそも、帝国憲法と現行憲法では、「憲法」の意味からして、違う。  帝国憲法が施行された時代、大日本帝国憲法の条文が憲法のすべてではなかった。たとえば、皇室は帝国憲法の制定前から存在した。決して帝国憲法が皇室の存在を認めているのではない。帝国憲法は皇室の歴史を確認しているだけだ。帝国憲法を頂点とする国務法と、皇室典範に代表される宮務法が併存し、相互に不干渉で共存する関係とされた。今の皇室典範が、日本国憲法の下にある単なる法律であるのとは、大違いだ。  しばしば、「帝国憲法には内閣の規定が無かったから、不備があった」と指摘されるが誤りだ。帝国憲法の発布は明治22(1889)年、内閣制度を定めた内閣職権は明治18年。内閣は、帝国憲法以前から存在していたので、詳細な規定を置かなかっただけだ。内閣職権は内閣官制へと改正されたが、憲法附属法として機能した。なんでもかんでも憲法典の条文に書き込むなどという発想が無かっただけだ。
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余計なことを書いていない帝国憲法と書きすぎた現行憲法
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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