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那須川天心、ボクシングデビュー戦から見えた課題とは。試合会場では「珍しい現象」が

 キックボクシングで42戦全勝(28KO)という驚異的な戦績を残し、一方ではテレビのバラエティ番組などに出演するなど幅広い活動をしてきた那須川天心(24歳=帝拳ジム所属)が、4月8日にプロボクサーとしてデビューした。東京・有明アリーナで行われたスーパーバンタム級6回戦。那須川は日本バンタム級2位の与那覇勇気(32歳=真正ジム所属)に大差の判定勝ちを収め、「第2章」と位置づけるボクシングで幸先いいスタートを切った。抜群の知名度と注目度を持つ“神童”は、このままボクシングでも黄金ロードを突っ走ることができるのか。 那須川天心

ボクシングの試合会場では「珍しい現象」が

 当日は1万2500人の観客が集まったが、那須川の試合が始まると場内のあちこちから「天心!」「天心がんばれー!」という声援が飛んだ。その多くは子供や女性だった。男性の観客が多いボクシングの試合会場では比較的珍しい現象といえた。その声援に応えるようにサウスポーの那須川は初回から軽快な動きを見せ、日本2位を翻弄した。  与那覇が出てくるのに合わせてカウンターの左ストレートを合わせて目と勘の良さを印象づけ、2回にはバランスを崩した相手に右フックを叩きつけてダウンも奪った。

試合から見えた那須川の課題

那須川天心 4回終盤には速くて細かい左右の連打を浴びせてダメージを与え、勝負を決定づけた。それでもKOには至らず、結果として6回まで勝負は長引いたが、那須川本人はリング上でのパフォーマンスを楽しんでいるかのようでもあった。  パワーという点で物足りなさを感じさせはしたが、デビュー戦ということを割り引いて考えなければなるまい。那須川は「デビュー戦を終えてホッとした。課題は残ったけれど6ラウンドを経験できてよかった」と試合を振り返っている。その課題については、「パンチの強化をしていきたい。倒せるものを磨けばさらに武器になる」と意欲的だ。
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対戦相手は「引き立て役になってしまった」
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日本大学法学部新聞学科卒業後の1982年4月、ベースボールマガジン社に入社。「ボクシングマガジン」編集部に配属となり、1988年~1999年まで11年間、同誌編集長を務める。2001年に退社しフリーのボクシングライターになる。以来、20年以上にわたりWOWOW「エキサイトマッチ」の番組構成を担当。そのほか日刊スポーツWeb版などに寄稿。著書は「ボクシング 名勝負の真実・日本編」「ボクシング 名勝負の真実・海外編」(いずれもネコパブリッシング)、「タツキ ~愛とボクシングに生きた男の半生~」(PHP研究所)など
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