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お気に入りの嬢に送ったラブLINEが上司に!?おっさんたちが傷を舐め合う“暴露トーク合戦”の行方は…

メガネを踏んづけて壊してしまった僕

26131215_m「やべっとおもって削除しようとしたら光の速さで既読が付いた」  この追撃に「やべー」「おわた」「ねえ、トルネードクンニってなに」と書き込みが続いた。 「トルネードクンニよりはましかもしれんな」  ミスしたおっさんも少しだけ安心したようだった。この感情が大切なのだ。  他にも「義実家でウンコ漏らした」だとか「イヤホンが刺さってなくてエロ動画の音声が職場中に響き渡った」などの、けっこうヤバ目のエピソードが続いた。そして、いよいよ僕がヤバめのエピソードを書き込む番となった。満を持してとっておきのヤバエピソードを切り出す。 「僕、ふだんはメガネをかけてるんですけど……」  どこかのショッピングモールで購入した安価なメガネだったけど、買ったその日に踏みつけて壊してしまった。壊れたといってもフレームが割れたとかレンズが割れたとかではなく、両方のレンズが外れてしまっただけなのでパカッとはめなおしたら元通りになったのでそのまま使っていた。  けれども、どうやら踏んでしまったときにフレームが歪んでしまったのか、いまいちレンズのホールドが悪い。フレームの歪みが蓄積してきてそのテンションが限界に達した時、ポコーンと両方のレンズが前に飛び出す。まるでギャグマンガみたいに飛び出す。  まあ、飛び出したらまたはめれば済むことで、特に気にすることなく使い続けていた。

地域の清掃活動で、短気な爺さんに怒られていたその時

 僕は休日の早朝に地域の清掃活動に参加している。参加しているのは見事に爺さんばかりで、おっさんである僕が参加者の中でいちばん若い。そこにめちゃくちゃ短気な爺さんがいる。  おそらく最年長である爺さんは、清掃が終わってみんなが道具を片付けているときに「あそこの清掃が甘かった」とか「このやり方は効率が悪い」とクドクドと説教を始める。爺さんは想像を絶するほどの短気なので反論すると烈火のごとく怒る。次第にみんな反論せずに、爺さんの独裁政治みたいな感じになっていった。  爺さんの恐怖支配はどんどんエスカレートしていき、いつの間にか清掃活動が終わると一列に並べられて一人ずつ爺さんの説教を賜るというシステムになっていた。これがどんどん長くなっていき、清掃の時間を大きく超えることもあった。  爺さんはしょうもないジョークとかおふざけの要素を嫌った。そういう素振りが出ると烈火のごとく怒った。何も知らない新人の爺さんが参加してきて、本日の反省を述べるときに「初参加の清掃活動でしたがスーツで来ようか悩みました。清掃だけに」と小粋なジョークを交えて述べた。何も知らないって恐ろしいことだな。新人の爺さんはこの世の終わりみたいな感じで怒られていた。  そんな鬼軍曹と化した爺さんが僕に詰め寄る。「今日の清掃の反省点を述べよ」と詰め寄られる。爺さんの顔がドアップで迫ってくる。近づきすぎだ。 「はい、本日は計画通りに清掃が行えませんでした。なぜなら最近はどういうわけか参加者が減少傾向にあるからです!」  元気よく返答し、おまえの恐怖支配があるから参加者が減ってんだよ、と皮肉も忘れない。その返答をした瞬間だった。  ポンポーン!  フレームのテンションがマックスになり、両方のレンズが飛んだ。確かに飛んだ。  しかも悪いことに、ドアップで近づいていた爺さんの顔面にベチベチと当たった。
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言い出しっぺのおっさんに勇気を与えることができた
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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