エンタメ

お気に入りの嬢に送ったラブLINEが上司に!?おっさんたちが傷を舐め合う“暴露トーク合戦”の行方は…

言い出しっぺのおっさんに勇気を与えることができた

 ふざけることが大嫌いな爺さんだけど、メガネのレンズが飛んでくる、しかも両方、という事態は想定のおふざけを超えているらしく、そのままフリーズしてしまった。完全に自分の中の許容量を超えてしまったらしく、怒るどころか、なんか狼狽していた。そしてやっと絞り出したセリフが 「目が飛び出るほど驚いたわ」  だった。そこに新人の爺さんが 「飛び出したのは目じゃなくてレンズ」  と突っ込んだ。知らないって怖いことだな。そして、正気を取り戻した爺さんにまた狂ったように怒られていた。 「ほんと、ポンポーンとレンズが飛び出したときはやべえと思いましたよ」  僕の書き込みに他のおっさんから書き込みが続く。「ぜんぜんやばくない」「たいしたことない」「なにかをはきちがえている」「ただおもしろ話をしたかっただけじゃねえか」とにかく不評だった。  でも、言い出しっぺであるミスをしたおっさんはなんだか吹っ切れたようだった。 「ありがとう。みんなの書き込みで元気でたわ。爆弾の存在を明かし、怒られて、家に帰って酒飲んでエロ動画でも見て寝るわ」

「おれよりヤバいやつがいる」は心の安定剤

 ついにそう決意したようだった。  現代人の感情は他者との比較によって評価される。それが自己顕示を加速させる。けれどもこうやって「おれよりヤバいやつがいる」という慰めめいた比較は、時には必要なのかもしれない。 「じゃあいってくる。おすすめのエロ動画を書いておいてくれ」  みんな優しいので「がんばってこいよ」の言葉と共にオススメのエロ動画のタイトルが書きこまれていく。そこで僕も渾身のオススメを書き込む。 「俺は女優とかプレイ内容とか関係なしに、ただみんなに評価されている作品って要素にいちばん興奮するんだけどみんなもそうだよね? ああ、いまみんなが評価している動画を見ているっ! ってだから皆に評価されているエロ動画みるといいと思います」  と書き込んだところ、「なにそれ」「おかしいだろ」「いみわからん」「性癖が捻じ曲がりすぎて一周まわってさらに三角形になった感じ」「今日きいた話の中でいちばんヤバい」と書き込まれまくった。  普通にあたりまえの性癖だと思っていたのにここまで否定されて目が飛び出るほど驚いた。まあ飛び出したのはレンズだけど。 <ロゴ/薊>
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

1
2
3
おすすめ記事