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「おじさん構文」を成立させる8つの必須要素。あの“ねっとり感”はAIで再現できるのか

おっさんは二度死ぬ 2ndシーズン

おじさん構文と僕

 みなさんは「おじさん構文」なるものをご存知だろうか。主にSNSなど、特にLINEなどメッセージをやり取りする場面で使われる構文だ。「おっさんが使いそう」という文章の構成がそう呼ばれ、早い話がちょっとバカにする文脈で使われるものだ。  この「おじさん構文」には諸説あり、もう、おじさんが使っているなら全てが「おじさん構文だ」という過激な意見もあれば、きちんと押さえるべき要素を押さえた構文を「おじさん構文」と呼ぶ向きもある。つまりポイントさえ押さえておけばおじさんが使っていなくとも「おじさん構文」というわけだ。  では、どんな部分を押さえれば「おじさん構文」となりうるのか。今日はその辺をじっくりと考えてみよう。今回は「おじさん構文」の識者として独自に「夜のお店に来る痛いお客さんの文体研究」を行っているヨッピー氏の研究成果を参考とさせていただく。 image001 image004 おっさん構文の研究者ヨッピー氏(@yoppymodel)のツイッターより。

おじさん構文、8つの必須要素

 さすが研究者と唸るしかない内容で、完全に「おじさん構文」のポイントを押さえている。本来は「夜のお店に来る痛い客」の構文として研究されたものだけど、完全に「おじさん構文」である。これは研究成果の発表のために作られたLINE画面だけど、あまりにも上手すぎるので普段からこういうの送っているんちゃうかなという内容だ。  さて、これを詳しく解析していると、それだけのこの連載の2本分くらいに相当する分量になってしまうので割愛させていただくが、この研究成果から読み取れる「おじさん構文」のポイントはこれだ。 ①謎の絵文字や顔文字が過剰 (たぶんこれが若さだと思っている) ②相手がいつでも返事を送れると思っている (自分勝手) ③謎の近況報告 (誰も気にしていない) ④高価なホテルの部屋写真や高価なレストランの写真 (財力アピール。エアポートでも可) ⑤すごい人と仕事した自慢 (すごい人と交わると自分もすごく見せることができる) ⑥突如に始まる謎の説教 (社会人として自分はちゃんとしていて厳しいところもあるアピール) ⑦突然に爆発する性欲 (あわよくば) ⑧微妙に会話のキャッチボールが成立しない (やり取りの8割以上が相手の返信と繋がっていない)  この短いやり取りでこれだけ「おじさん構文」をぶち込んでくるのだから、もしかしたらやはりこの研究者は普段からこういうの送っているのかもしれない。あまりにも慣れ過ぎている。特に「レナとエッチしたい!」で突如に性欲が爆発するところはすごい。ここにはおっさんの色々な思惑やこれまでの人生みたいなものがスパークしている。これを最後に持ってくるのは相当の手練れだ。
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おじさんだからこそ駆使できるおじさん構文
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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