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「TKO木下の修正依頼は1か所だけ」取材を重ねた作家が直面した“謎のこだわり”

「能力の高さ」に改めて驚いた

——わかります。私も別の企画でお二人の対談の現場に立ち会っていたことがあるんですけど、木本さんの話ってものすごく丁寧でわかりやすいんですよね。木下さんの事件に関しても、木本さんがご本人以上に詳しく説明してくれたんです。 浜口:投資トラブルに関しては、しゃべれないことも結構あるんですよ。それを処理しつつわかりやすく語ってくれるから、余計にすごいなと思いました。ロケが得意な人ってこういうことができるんですよね。 ——たしかに、ロケ番組では目の前の出来事や情報をどんどん処理していかないといけないですもんね。 浜口:そうそう。もちろん、芸人としてあの年齢まで生き残っている方なので、能力が高いのは当たり前なんですけど、こうやってお話をうかがってみて改めてすごいなと思いました。

木下が修正依頼したのは1点だけだった

——木下さんはどうでしたか? 浜口:木下さんは単純にめちゃめちゃ面白い人ですね。エピソードトークも面白いし、こういうところを見てはるんやなという発見もあったりして、話を聞いていて何回も笑いそうになりました。 ひとつ印象的だったことがあって。僕が一通り書いたゲラ(原稿)をお二人に送ったんです。事実と違うところや直してほしいところがあったら教えてください、っていうことで。木本さんからはいくつか修正依頼をもらったんですけど、木下さんからは「僕はないです。……ああ、でも、一個だけ」って言われて。 木下さんはペットボトル事件の後で、反省の意志を示すために四国のお遍路さん巡りの旅をするんですよね。それって普通は歩いて行くものだと思うんですけど、木下さんは電動自転車で回っていた。それをほかの芸人さんがネタにしていたのを聞いたことがあったので、その話を書いていたんですね。 そうしたら木下さんから「あれは電動自転車じゃなくて普通の自転車だったんです」って言われて。たった一個の直してほしいところってそこなの?って(笑)。本当に面白い人やなと思いました。
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「相方を面白い」と思えるからこそ長く続けられる
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お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

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