「TKO木下の修正依頼は1か所だけ」取材を重ねた作家が直面した“謎のこだわり”
4月23日、お笑いコンビ・TKOのこれまでの激動の歩みを描いた書籍『転落』(幻冬舎)が発売された。執筆を務めたのは『22年目の告白』などの著書で知られる作家の浜口倫太郎氏。元放送作家でもある彼が、TKOの2人へのインタビュー取材をもとにして、本書を書き上げた。2人の印象について浜口氏に話を聞いた。
——この本を手に取る方の多くは、お二人の最近のトラブルのことに興味を持っているんじゃないかと思うんですが、この本では若手時代のTKOが大阪で活動していた頃の話も書かれていて、お笑い好きとしてはその部分も面白かったです。
浜口:関西では吉本興業が圧倒的な存在で、松竹芸能は二番手みたいな感じなんですよね。で、変な言い方ですけど、二番手の立場のほうが物語としては面白いんです。
——本にも書かれていますが、当時の大阪では今よりも松竹芸人への風当たりが強くて、吉本芸人からもお笑いファンからも見下されているところがあったそうですね。
浜口:僕が高校ぐらいの頃に関西の若手芸人ブームみたいなのがあって、(吉本興業の)千原兄弟さんとかジャリズムさんとかが、とんでもなく人気があったんですよ。松竹ではよゐこさんやTKOさんがいたんですけど、よゐこさんは東京のテレビにも出たりしていて、一個抜けた感じがあったんです。だから、TKOさんが松竹差別みたいなものを一番受けていた立場だったと思うんですよね。
そういう状況をひっくり返すために『爆笑BOOING』(関西テレビ)というネタ番組のエンディングの出演者全員が映っているところで、千原ジュニアさんに口パクで話しかけているふりをしたんですよね。
すると、それを見た人が「ジュニアとTKOって仲良いんや」と思って、TKOにも少しずつファンが増えていくんです。僕はこの話がめちゃくちゃ好きで。言い方は悪いですけど、弱者の戦略じゃないですか。
——それ、すごく良い話ですよね。お笑いファンの中にはそういうことに異常に反応する人がいるんですよね。うわっ、この人とこの人が仲良いんだ、みたいな。そのことで実際にTKOのファンも増えていったんですよね。
二番手のほうが物語として面白い
ファンを増やすための“口パク作戦”
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