仕事

若手会社員が“出世の代償”に払ったサラリーマン地獄「休日返上で営業所長の私用の手伝いに…」

「実質週休1日」の生活で心身がすり減っていく

 しかし、良かれと思って気に入られたのに、思わぬ弊害が降りかかる。 「それから、毎週のように所長から声がかかることになったんです。ツーリングはまだしも、所長の息子が所属するソフトボールチームのコーチ、所長の親戚の引越しの手伝いや、所長が地元でたびたび行うBBQの買い出しから後片付けの担当まで。なかでもキツいのがソフトボールのコーチでした。1日の練習を終えた後に、所長から教え方についてのダメ出しをされて、子供たちの成長について、成果を出すよう求められるんです」  正直、余暇時間が奪われるづけるのが嫌でたまらなかったが、なかなか断れなかったのだという。 「優先的に良い顧客を回してくれたり、仕事でも目をかけてくれるようになっていたので、言い出せなくて……。毎週土日のどちらかを所長のために使っている状態だったので実質週休1日でしたね……。ある時に『予定があるのですみません』と断ったんですが、その週はやたらと当たりがキツくて、ミスしたわけでもないのに朝礼で名指しで批判されたりと態度が豹変してしまって……」

昇格するも先輩から反感を買い…

 それから1年半ほど経ったころ、安藤さんの立場に変化があった。 「係長だった上司が転勤になって、ポジションが空いたんです。そこに自分が抜擢されることになりました。明らかに“休日呼び出し”に応えていることへのご褒美的な処遇でした」  最初はよろこんだ安藤さんだが、むしろ自分の立場が悪くなったことを知ることになる。 「自分よりも社歴の長い社員を出し抜く形での出世だったので、先輩社員2人の反感を買ったんです。それまでは協力しあって仕事をしていたのに、急に冷たくなりました。お客さんから営業所に入った自分宛の連絡を伝えてもらえず、お客さんから『いつになったら対応してくれるんだ』と怒られるなど、嫌がらせもされるようになったんです」
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今では「休日に接触することは絶対にしない」
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込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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