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「転職したい中高年」がChatGPTを勉強すべき理由

デスクワークにこだわる求職者を待つ未来

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写真はイメージです

 ただ、こうした現象は、別に生成AIの誕生で初めて出てきた現象ではない。  あなたのまわりでも、仕事で使用するIT機器やソフトウェア、ネットワーク周辺にとにかく弱く、まともに使えない人が誰か一人はいるのではないだろうか?  新しいソフトを導入すると何もできない。  ソフトがアップデートされると使えなくなる。  そういった人が生成AIを使った新しい仕事に馴染めるとは思いづらい。  特に50、60代の場合、これまでは部下や後輩にやってもらっていた立場でも、転職や再就職をすると“振り出し”に戻ることが多い。部下に任せられていた仕事を自分でやらなければいけなくなったときに、新しいソフトやツール、生成AIを毛嫌いするような人は、特にデスクワークでは採用も厳しくなってしまう。 そして、採用されることが難しいデスクワークと言えば、やはり事務職。中高年に限らず全年齢で求人倍率が低い。つまり、希望者が多いのに求人は少ない。  デスクワークはシニア就活でも人気の職種だ。「デスクワークで体力的にも勤めやすそう」や「これまでの職歴でも事務仕事が多かった」といった理由から、中高年の事務職希望者は減るどころか増えている。なかには未経験にも関わらず事務職に応募する50、60代もいるほどだ。  しかし現実は、数十年の事無職経験を持つ人や、簿記やMOSなど無数の民間資格を持った猛者でもあっさり落ちる。未経験者ならなおさらで、企業の採用担当の立場からすれば、ブラインドタッチすらままならない応募者などは採用する意味が見いだせないのだ。  そして、今後はこうした狭き門である事務職にとって、「当然持つべきスキル」という部分に生成AIも入ってくるだろう。だから特に中高年ほど、ChatGPTをはじめとした生成AIにまだ触れたことがない人は、個人ででも触れておくべきだ。  急にすべての仕事が激変するわけではなくとも、逆にじわじわと仕事内容が変化していくからこそ、自分自身がまわりと一緒に変化できなかった人は、転職などのタイミングで急に、苦しい立場になってしまうかもしれない。
50代以上のシニアに特化した転職支援を提供する「シニアジョブ」代表取締役。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓う。シニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中
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