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球界の異端児トレバー・バウアーが自軍に激怒。DeNAは優勝争いに参加できるか

トレバー・バウアーは「ルーザー」と呼ばれていた

 メジャーで出場停止処分中のバウアーにまつわるさまざまな経緯はここでは省くが、ベイスターズがバウアーを獲得すると、旧知のアメリカ人たちは口を揃えて驚き、私がベイスターズOBと知る仲間からは「彼はルーザーだぞ!」とのメールが届いた。  アメリカ球界のスラングでは、味方を鼓舞し、チームの士気を高めるリーダーを「ウィナー」と称し、自分勝手な振る舞いでチームに悪影響を及ぼす選手を皮肉を込めて「ルーザー」と呼ぶ。  例えばスカウトが気になる選手を見つけると「Is he a winner?(彼は勝者か?)」と真っ先に確認するように。ベイスターズが獲得したバウアーは、アメリカ球界では「ルーザー」と敬遠されていたのが現地の評価だった。

バウアーの怒りに奮起したベイスターズ

1998年の遺伝子の佐々木と谷繁のバッテリー

佐々木と谷繁のバッテリー

 久々にベル監督に連絡を入れて尋ねた。「僕の古巣がトレバー(バウアー)を獲得して、妙な噂を耳にしたんだけど、彼はどんな選手なのか」と。ベル監督は「ウィナーにもルーザーにもなる選手だ」と端的に言う。しかし間髪を入れず「ところでこれは友人としての質問か?記事にするつもりか?」と尋ねてきた。 「記事にはしないから友人として聞かせてくれ」と伝えると、ベルは私の想像を超えるコメントを送ってきた。約束どおり記事にはしないが、バウアーは自軍の監督にさえ、そんなふうに思われていたのか……と、ベイスターズの未来が正直心配になった。  チームの調子が上向いてきた6月、バウアーは4試合に先発し4勝。そのすべてでクオリティスタート(先発して6回以上を自責点3以内)という圧巻の内容を続けた。  三浦大輔監督は「実績は申し分ない投手ですからね」と一目を置き、激しい怒りを表現した場面について、メジャー経験も豊富な斎藤隆チーフ投手コーチは「メジャーと日本は違うからね……」と日本の野球に順応させる必要性を語った。
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ピカチュウ好きが高じて…。ネットで話題になった姿とは?
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1973年、神奈川県生まれ。日大芸術学部卒業後の1997年、横浜ベイスターズに入社、通訳・広報を担当。'02年・新庄剛志の通訳としてMLBサンフランシスコ・ジャイアンツ、'03年ニューヨーク・メッツと契約。その後は通訳、ライター、実業家と幅広く活動。WBCは4大会連続通訳を担当。今回のWBCもメディア通訳を担当した。著書に『大谷翔平 二刀流』(扶桑社)ほか

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