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医療機関にヤバいクチコミが多い理由と、良いクチコミを書くことで得られる効果

珍しく高評価の病院を見つけたので、予約してみた

 そんな中でもキラリと光る高評価の病院を見つけた。クチコミによると、ここではかなりITを導入しているらしく、スマホでの受診予約、QRコードによる受付、事前にスマホで問診も済ませることができて待ち時間も短くスムーズに受診できるらしい。こういった便利なサービスを知ることができるのはクチコミの醍醐味だ。  さっそく、スマホを駆使して受診予約をし、事前問診として症状を書き込んだ。 「何らかの虫に刺されたようで腫れたのですが、それが尋常じゃなく、関係ない虫刺されまで膿んできて、腕の全体が腫れてスコットノートンみたいになっています」  ITを駆使して送信し、明日になれば皮膚科を受診できる、それだけを心の支えにパンパンに腫れあがった腕を冷やしながら眠りについた。  次の日の早朝、大変なことになった。あいかわらず刺された部分は痛むのだけど、すっかりと腫れが引いてしまった。普通の太さだ。これではあまりの筋肉に超竜の名を欲しいままにしたスコットノートンみたいな腕とはとてもじゃないが言えない。

仕方なく、ビクビクしながら病院に向かった

 けれども、事前問診には「スコットノートンみたいになった」と書いてしまったのだ。ここで昨晩に調べたクチコミが頭をよぎる。 「事前問診でオーバー気味に症状を書くと受診時に怒られることがあります。短気な部分があります」  好評価な病院のクチコミといえども、このように「短気」とまで書かれるのだ。つくづく病院経営とは大変なものだ。しかし、そこまで短気だと問題だ。昨日の状態で「腫れてスコットノートンみたいになっている」と事前問診で書いたのに、もう普通にそのへんにいるおっさんの腕なのだ。 「これのどこがスコットノートンだ、え?お?」  と詰められたら泣いてしまう。ただでさえ苦痛を抱いているのにそんなに起こられたら辛辣なクチコミを書いてしまいそうだ。  なんとか受診時間までに腕を腫れさせてスコットノートンにする、シンクに腕を叩きつけてやるか、折れるまで叩きつけてやるか、と思ったけど、さすがにそれは意味不明すぎてやってはいけない。結局、「短気」というクチコミにビクビクしながら怒られるかもと半分くらい覚悟して受診した。
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ひょんなところでスコットノートンが効いた
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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