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23歳青年に負けて“出禁”をくらった悲しき中堅営業マン。お客から「遠慮していい?」と一言

帰り際に客から言われたショックな一言

 チャンス到来と感じた渉さんは、早速玄関へ回り、良い機会なので城内くんに商品説明をさせたといいます。そのシルバーヘアのご婦人はとても熱心に耳を傾けていたそうです。 「思っていた以上に城内くんはスラスラと商品説明ができているんです。しかも、時々ジョークなども織り交ぜて。ただ、そのご婦人の目の輝きが尋常ではなく、まるでアイドルを目の前にした時のようなキラキラ感だったんです」  ひと通り商品説明が終わり、今度は価格や保障について少しつっこんだ話題になるので、渉さんが城内くんに変わって話し始めたと言います。 「そのご婦人は、私の説明もしっかり聞いてくださいました。我が社の製品もよくご存知で、興味を示された器具がたまたま営業車に積んであったので、城内くんに取ってくるよう指示したんです。そしたら、2人っきりになった途端、そのご婦人は『あの、たいへんお伝えしづらいのですが、商品は次回契約するとして、1つお願いがあるのです……。次回なんですが、城内さんでしたかね、彼一人で訪問いただいて、できればあなたは遠慮してもらっていいかしら?』と言ったんです」 「かしこまりました」とか言いようがなかった渉さん。ショックを隠しきれず、帰りの車の中ではずっと無言だったと言います。

気がつけば成績トップに

営業マン 渉さんはしばらくの間落ち込んだと言います。確かに23歳の青年に比べれば、鏡に写るアラフォーの顔は、お世辞にもイケメンとは言えず、あのご婦人の気持ちも察することができたそう。 「いろいろ考えたんです。人間は誰しも劣化するんです。僕だって大学生の頃はこれでもモテていたんですよ。だから決めました。ペア営業のスタイルは崩すことなく城内くんとは一緒に営業するのですが、あくまでピンポンして中に入るのは城内くん、万一話がこじれたら私の出番。それでいきます!」  少し前の落ち込んだ表情はどこへやら、やる気満々の笑顔で答えてくれた渉さん。その、城内くんオンリーのアポは大成功し、通常月の3倍もの売り上げを記録したそうです。最近では、城内くんの噂を聞きつけた他のご婦人から指名の電話が入るほどに。 「あの時は正直ショックでしたが、こうして城内くんも実力がつき、そしてなんと言っても営業成績が給料に反映されるので、その分でジムとメンズエステに通ってるんです!」と語る渉さん。いつか彼にも指名が入るといいですね。 <TEXT/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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