ビッグモーター不祥事問題。「自賠責保険」で保険会社が儲けを出すカラクリ
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
ビッグモーターの不祥事が連日のように明るみになっています。一連の問題で、最も深刻なのは保険会社との癒着が疑われている点。事態を重く見た金融庁は、大手損害保険会社7社に対して報告命令を出す方針を固め、なかでもより重点的に調査されるとアナウンスされたのが損害保険ジャパンでした。
もし、修理が必要になった契約者に対して、保険会社がビッグモーターを紹介し、そのお返しとして自賠責保険を割り振っていたのであれば大問題です。
しかし、「ノーロス・ノープロフィット(非営利)」である、自賠責保険で保険会社が儲けを出すことができるのでしょうか?
ビッグモーターの不祥事が明るみになった当初、保険会社は被害者だと思われていました。
損害保険ジャパンは7月25日に「不正請求を行ってきたビッグモーター社への厳正な対応を行ってまいります」と怒りを露わにしています。しかし、ビッグモーターに対して出向者を出していたことや、契約者を紹介していた疑いが出ると、「不適切な行為が判明した場合には厳正に対処いたします」とし、社外調査委員会を立ち上げました。
損保ジャパンとビッグモーターの関係は深く、ビッグモーターに吸収されたハナテンが2015年12月に出した「非上場の親会社等の決算に関するお知らせ」によると、ビッグモーターの第2位の株主は損害保険ジャパン日本興亜(現在の損保ジャパン)で、7.13%を保有していました。
ビッグモーターは推奨する保険会社をホームページで公開していますが、損保ジャパンが圧倒的な割合を占めています。
ビッグモーターや損保ジャパンが、互いに便宜を図っていたのかどうかは、調査委員や金融庁の調査で明らかになるでしょう。ただし、損保ジャパンがビッグモーターに他社を上回る出向者を出していたこと、かつて出資をしていたこと、積極的に損保ジャパンを推奨していることから、両社が強く結ばれていたことは推察できます。
疑問に感じるのは、自賠責保険の契約を多く回していたとして、保険会社を利することができるのかということです。この保険は対人賠償を確保することが目的の国の事業。一見すると、保険会社が儲けられるようには見えません。
「推奨保険会社」として圧倒的な割合を占める損保ジャパン
保険会社が儲けられるようには見えないが…
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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