更新日:2023年09月01日 15:04
スポーツ

全額返金チケット、100万円で監督と会食…下落したベイスターズの観客動員数を回復させたDeNAの驚きの手法

まずはコアファンの属性データを収集

1998年の遺伝子

1998年、優勝当時の集合写真

 どんなに強いチームでも勝率6割が常のプロ野球の世界。そして、DeNAは「勝敗に依存しないチームづくり」に舵を切ることにしたのだ。  まず、来場するファンの属性データがないことに気づくと、初年度、2年目に徹底的な調査を繰り返し、のちの球団経営の原点とも呼べるコアファンのペルソナ像を細かに設定した(20〜30代の男性ファン。スポーツが好き、飲み会が好き、サッカーも日本代表戦は応援する)。  そんなコアなターゲットを「アクティブサラリーマン」と名づけ、彼らを球場に呼ぶ施策を次々と実行した。

前例にない斬新なアイデアで土台を築いてきた

 横浜生まれ、横浜育ち、前身のホエールズ時代からチームを応援。生粋のハマっ子である広報コミュニケーション部長の青木慎哉(47歳)が証言する。 「’12年のDeNA初年度は、中畑清監督の下、46勝85敗13分けとダントツの最下位に沈みました。他業種から球団に転職してきたスタッフの前例に囚われない斬新なアイデアがどんどん出てきました。  勝っても負けても納得いかなければ全額返金するチケット、100万円で試合後に監督と会食ができるVIPチケット、サラリーマンを狙ったビール半額デーや、試合後にグラウンドで行う入団テストなどです。  野球界、とくに現場寄りのチームサイドは旧態依然とした独特な空気感があり、時には中畑監督からお叱りを受ける企画もありましたが、新生DeNAのフロントスタッフも必死になって企画の意図を説いて回り、闊達に意見交換をしながらその土台を築いていきました」
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チームとしての一体感は、数字に表れる
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1973年、神奈川県生まれ。日大芸術学部卒業後の1997年、横浜ベイスターズに入社、通訳・広報を担当。'02年・新庄剛志の通訳としてMLBサンフランシスコ・ジャイアンツ、'03年ニューヨーク・メッツと契約。その後は通訳、ライター、実業家と幅広く活動。WBCは4大会連続通訳を担当。今回のWBCもメディア通訳を担当した。著書に『大谷翔平 二刀流』(扶桑社)ほか

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