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田代まさし起用で話題の『ヒロポン酢』CM出演の経緯を本人に直撃「ギャラは全額寄付した」

収入がゼロになり、家も車も全部売った

――紆余曲折を経て心情の変化があったとのことですが、変わらないことはありますか? 田代:昔も今も「見ている人が楽しいと思ってくれる」ということを大事にしています。 ――昔の話が出ましたが、一番忙しかったのは、80年代後半から90年代前半にかけて、バラエティ番組にたくさん出ていた時期ですか? 田代:そうですね。あの頃が僕も一番脂が乗ってたと思いますし。 ――差し支えなければその頃の最高月収を教えていただけませんか? 田代:月によって違いますが、平均すると月800万くらいはいただいていました。 ――そこから、事件を経て収入がゼロになった時期もあったと思います。 田代:ありました。家も車も全部売ってしまいましたしね。 ――その時に、イメージが重要なエンタメの世界ではなく他の仕事をしようと考えたことはありませんでしたか? 田代:家も借りられず、仕事もないので「どうしよう」という思いばかりが募る日々でした。それでも以前と変わらずに接してくれる志村(けん)さんや鈴木雅之のような存在に助けられましたね。

CM効果で品切れも…ギャラは全額寄付

――田代さんの出演もあって、商品は生産が追いつかない売れ行きのようですね。 田代:最初は、この商品がヒットすることで働いている障害者の皆さんの給料を上げることを条件に、出演の話をさせてもらっていたんですが、給料を上げてしまうと障害者年金が減額されたりもらえなくなってしまうことがあるそうで、難しかったようです。 ――それでも、作った方々にとって売れ行きが良いのは嬉しいことですよね。 田代:その力になれたのは嬉しいですね。給料はなかなかあげられないということだったので、「皆さんで美味しいものを食べたり、良い思いさせてあげてくださいね」と社長さんにお話ししました。それと、今回のギャラは、今、薬物依存で困っているいる人に使って欲しいと思い、ダルクとその関連団体に全額寄付しました。 ――いわばノーギャラ。そんな思いがあったんですね。 田代:でも今度、8月4日にYouTubeチャンネルを開設したんですが、社長がそのスポンサーになりたいと言ってくださったりして。ダルクで教わった「仲間を手助けすること」は大事なんだと改めて思いましたね。 ===== 『ヒロポン酢』が冗談めかした一発屋の商品ではないということが分かってもらえたはずだ。自分の置かれた境遇と真摯に向き合う田代氏との絶妙なタッグが末永く続くことを期待したい。 取材・文/Mr.tsubaking
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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