“路上でシャブを買える街”の住人が「覚せい剤だけはやるな」と力説するワケ
元タレントの田代まさし(63)が、覚せい剤を所持していたとして、東京都内で逮捕された。本人は「覚せい剤は自分のものではない」と容疑を否認しているが、田代氏の薬物関連の逮捕はこれで5回目となる。最近はメディアでの出演も増え、NHKの番組では薬物依存問題について語るなどしていただけに、ショックを受けた人も多いはずだ。覚せい剤はやはり一度やったらやめられないのだろうか。
ひと昔前までは「路上でシャブを買える街」と呼ばれていた大阪市西成区あいりん地区。筆者は昨年実際に生活していたが、そこで起きたエピソードをもとに、いまいちど考えてみたい。
あいりん地区には通称ドヤと呼ばれる簡易宿泊所が立ち並んでいる。1泊500円の宿から、出張サラリーマンや観光客も利用する1泊3000円の宿まで。いまでこそ、クリーンな場所がほとんどとなったものの、数年前まではこのドヤのフロントが薬物の売買と深いつながりを持っていた。同地区で薬物の売人をしていたという元暴力団員の男がこう明かす。
「あいりんでシャブ買うときはな、道端に立っている売人に声をかけると取引場所を教えてくれるんや。取引場所はドヤの一室になっていることが多い。フロントも売人と繋がっとるからな。場所代としてドヤ自体がバックもらっとるから完全にグルや」
こういったドヤを現地では「シャブホテル」と呼ぶ。警察のガサ入れによりこの数は一気に減ったというが、昨年8月にも、同地区のとある簡易宿泊所の一室から約25グラムの覚せい剤や注射器が押収され、産経新聞が「大阪・西成の簡易宿泊所、覚醒剤密売の拠点に」と報じた。また別のドヤでは、報道こそされていないものの、こんな事件も起きている。同ドヤの清掃スタッフが話す。
「ある日、ホテルのエレベーターが故障したので業者を呼んで修理してもらいました。エレベーター下に潜ると、おびただしい数の使用済み注射器が山のように溜まっていたんです。ドヤの住人たちが覚せい剤を打ってはエレベーターの隙間に落とし、打っては落としを繰り返していたんですね」
また、筆者は同地区のドヤで清掃スタッフをしていたことがあるが、部屋から使用済みの注射器や、空のパケ(覚せい剤が入った袋)が出てくることもあった。この場合、警察に毎回通報していてはキリがないため、基本的にはゴミ箱にポイという対応であった。
西成の宿泊所ドヤとシャブ
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1992年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライター活動を始める。
2018年、西成のドヤ街で生活した日々を綴った『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)でデビュー。ライターとして取材地に赴き、その地に長らく身を置く取材スタイルを好む。著書に『ルポ歌舞伎町』、『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ワイルドサイド漂流記』(文藝春秋)がある。X:@onkunion
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