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「1か月で口座から1500万円が…」60代資産家女性が告発する“スマートウォッチ投資トラブル”の実態

スマートウォッチはまともに機能せず

「仕事柄、海外から物を仕入れたこともありますが、こんな何十箱もまとめて送られてくるのは初めてでした。率直に申し上げて、輸入ビジネスをしたことがない人のやり方だと思いました。スマートウォッチの設定も届いてすぐにやりましたが、心拍数や血圧の測定値に異常が出た時になるアラートがしょっちゅう鳴っていんです。いつもかしこも“心拍数異常”とか“血圧異常”が出るので時間しか計れず、今はもう使っていません」  休息時・運動時の心拍数、呼吸数を記録・分析できる触れ込みのスマートウォッチだったが、結局どれもまともに機能しなかった。徐々にこのビジネスが怪しいと思い始めた斉藤さん。決定的だったのが、そのスマートウォッチを名指しで批判するYouTube動画を見たことだった。 「息子から教えてもらったのですが、その動画は私の疑問点をズバズバと言い当てていて、見ていて目が覚めるような感覚でした。暗号資産も株投資の経験もあったのに、なんでこんなことに巻き込まれていたのかとショックでした。今はダマされた自分がくやしいです。これから息子に直接連絡を取って、裁判を起こす準備をしています

スマートウォッチ会社のインサイダーが語る

スマートウォッチ

スマートウォッチ会社のセミナーの様子(吉田さん提供)

 ここまで被害者の話を紹介してきたが、実は、この騒動に巻き込まれたのは彼女だけではない。今回、もう一人の被害者である吉田さん(仮名)にも話を聞いている。彼はスマートウォッチの出資者ではなく、その宣伝や営業にも携わっていた人物だ。そのビジネスの裏側を明かす。 「Oさんが所属していたのはXという会社です。そこはもともとスマートウォッチの販売会社だったのですが、2020年秋からスマートウォッチから計測された健康データを医療機関に販売し、その売り上げをトークンとして、出資者に分配するというビジネスを始めると言いはじめました。私は初期のXでスマートウォッチの宣伝・販売をしていましたが、徐々におかしいと思い、会社を離れたんです」  現在は会社を離れた吉田さんのもとには、自分が作ったグループの人たちから返金請求に協力してほしいという問い合わせが毎日のように寄せられている。そして、当時の反省から、そのひとつひとつに真摯に対応しているという。
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編集部からX社に問い合わせると
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