早朝の歌舞伎町が放つ怪しい光は、まるでキラキラ輝く汚物のようだ
何がなんでも歌舞伎町の土産話を要求してくるおじさん
おじさんの心に最も刺さったのは、意外にも
ヘドロ。
「さすが歌舞伎町、ヘドロときたもんだ」
「地元にヘドロはないですか」
「ないですね」
僕らの会話もちょっとよく分からない。
「いやー、マサがヘドロ好きなんですよ。いいみやげになったな」
もうマサがどういうやつか分からなくなってきた。ヘドロ好きというカテゴリがこの世に存在しているとは思わなかった。まさかこんな落書きをありがたがる人がいるとは思わなかった。
自分で案内していて感じたのだけど、交縁やトー横キッズ周辺のややアンダーグラウンドな歌舞伎町は完全に観光地化している。それはおそらく、夜から深夜にかけて見学したほうが、スリリングかつ、望む光景が見られるかもしれない。けれども、早朝の歌舞伎町もそれはそれで爽やかかつ、怪しい光を放っているのだ。そう、朝日を浴びてキラキラ輝くヘドロのような存在だ。
「ありがとうございました。いいみやげ話ができそうです」
手を振って駅へと戻っていくおじさん、それと入れ替わるように、大きな荷物をもった女性が立ちんぼスポットへとやってきた。早朝の歌舞伎町は爽やかなカオスだ。さあ、ここから歌舞伎町の一日が始まるのだ。
<ロゴ/薊> ―[おっさんは二度死ぬ]―
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri)![]() | 『pato「おっさんは二度死ぬ」』 “全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"―― ![]() |
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