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バスケW杯が“残り試合も見逃せない”理由。「残り2勝」でパリ五輪行きのチケットが

基本コンセプトを押さえれば競合とも互角に戦える

 FIBAランキングが実力をそのまま表すわけではない。  日本にはいまや36位という順位では計れない勢いがある。ドイツには完敗を喫したが、フィンランドには勝利した。オーストラリアには敗れたものの、後半だけを見れば54-52と上回った。  オーストラリア戦は出だしでつまずき、前半終了時点で57-35と大差をつけられた。それでもディフェンスのプレッシャーを強め、リバウンドを徹底し、ボールを奪えば素早く攻撃へと転じるという基本コンセプトをきっちり押さえることで互角の戦いを演じられた。  そのことは選手たちにとって自信となっており、馬場雄大は順位決定権への強い意気込みを語っている。 「誰も下を向いてはいない。自分たちには力があると思っているし、この後の2試合でそれをコート上で表現したい」  渡邊雄太もこれまで以上に並々ならぬ決意をもって、残り2試合に挑む。 「ここからが本当の勝負です。あと2つ勝てばオリンピックに大きく近づくので、取りこぼしはできない。絶対に勝ちます」

富樫と河村の力で、ホーキンソンと渡邊を得点源に

 残る2試合に向けて勝利のカギとなるのは、ここまで平均23.3得点のジョシュ・ホーキンソンと平均16.0得点の渡邊雄太が、どれだけのパフォーマンスを見せられるかだろう。  日本の司令塔となる富樫勇樹と河村勇輝は、ドイツ戦とオーストラリア戦ではNBAで活躍するガードとマッチアップして、思うようなプレーができなかった。だが、ガードの力が劣るフィンランド戦では最高のプレーを披露している。  順位決定戦で対戦するベネズエラとカーボベルデは、ともにガードの力が高いとは言えない。彼らが主導権を握り、チームの強みであるホーキンソンと渡邊がどれだけ能力を発揮できるかが重要になる。  FIBAランキングでは上位のベネズエラであっても、今回は善戦ではなく、勝ち切ることが必要。これまでの日本の出来を考慮すると、相手への対策よりも日本が攻守のクオリティをどれだけ高められるかがポイントになるだろう。
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相手に比べて「日程的にも有利な状況」
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フリーランスのスポーツコンテンツエディター。Bリーグ創設の2016年に立ち上がった日本最大級のバスケットボール専門メディアの専属ライターおよび編集者として取材を行い、Bリーグ、Wリーグ、日本代表、高校バスケや大学バスケなど幅広くバスケットボールを取材。今もバスケを中心に多くのスポーツコンテンツ制作を手掛ける
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