更新日:2023年09月05日 12:07
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“プールの水出しっぱなし”教員に同情の声…「弁償に至るケースは校長の能力が低い」

夏休みの間中、ずっと出しっぱなしになっていた事例も…

 昨年発生した神奈川県横須賀市の中学校でのケースでは6月下旬から二ヶ月にわたって、プールの水が出しっぱなしになっている。その理由は、管理する教員がコロナ感染対策のために、プールの水を常に溢れさせる必要があると思い込んでいたというもの。横須賀市では損害額約350万円のうち、約174万円を校長と教員らに請求している。  報道されている限りで、もっとも損害額が大きかったのは2011年に愛媛県松山市の中学校でのものだ。このケースでは同年の7月20日から9月7日まで、夏休み中にわたってずっと、水が出しっぱなしになっていた。無駄になった水の量はプール24杯分相当の約9900立方メートル。実に約503万円の損害が出ている。  このケースが特異なのは、途中で市教委が水が異常に使用されていたことに気づいていたにも拘わらず、誰も確認しなかったことだ。市教委では異常使用に気づいた時点で、水道メーターの検針を指示したが、学校側はプールの確認を怠っていた。さらに、出しっぱなしが明らかになった後も、担当していた4人の教員は全員が「閉め忘れは自分ではない」と関与を否定。その無責任さゆえに、地元メディアでは大きく報じられ、完全な赤っ恥となってしまった。

弁償に至っているケースは校長の能力が低い?

 栓の閉め忘れで、膨大な量の水を無駄にしたことは明らかな過失である。しかし、今回の川崎市の事例のように教員にすべての責任を負わせることを疑問視する声は強い。  先にコメントしてくれた小学校教員によれば、実際には、水の出しっぱなし程度では弁償もしないケースも多いという。 「多くのケースでは、校長の裁量で始末書を提出する程度です。民間企業だって、従業員が備品を壊しても弁償を求めることはそうそうないでしょう。弁償に至っているケースは校長の能力が低くて、内々で処理できなかったんだと思いますよ」  教員の労働環境がブラックとされる要因の一つとして部活動の交通費や、備品など、自腹で負担せざるを得ない部分が多いことはよく指摘される。ミスしたら弁償というのなら、自腹の分を精算して欲しいものだ。 <取材・文/昼間たかし>
ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』
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