ライフ

おっさんが、ChatGPTを使ってスナックのママを落とそうとした結果

かたくなにおっさんを冒険させたがるAI

「なんかありきたりな提案だなあ。なんか普通じゃない?」  竹下が悪態をつく。だから、生成AIは万能ではないのだ。ほぼ、ありきたりなアドバイスに終始する。そういうものだ。 「秘湯を探しに行った武勇伝ってありますよ」 「あ、それいいね」  どうやら竹下さんにとって秘湯を探しに行く話がツボのようで、それをママに提供しようと考えたようだ。秘湯なんか探しに行ったことないのに、そのエピソードすらもGPTに考えてもらう魂胆のようだ。 「おじさんが秘湯を探しに行く武勇伝を考えてください」  おじさんの田中さんは秘湯を探す冒険に出かけましたが、山の中で迷子になりました。数日間彷徨った後、ついに秘湯を見つけ、心と体を癒しました。彼は秘湯を地元の人々に教え、観光名所として栄えました。この冒険は彼に大切な教訓を与え、自然の尊さを感じさせました。  やっぱ生成AIはおっさんを迷子にさせたいんだな。 「よーし、今日こそはママを落とすぞ」  俄然、張り切る竹下さん。落とすという言葉は相手を尊重していません、と怒りそうになったがやめておいた。  結局、生成AIとはなんでも解決してくれる万能ツールではないということだ。大切なのは使う人の気持ちだ。自分の中の芯となる気持ちを見失って、ただただツールに頼っていては、自分が何をしたいのか見失ってしまう。そう、心が迷子になってしまうのだ。 <ロゴ/薊>
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

1
2
3
4
5
おすすめ記事