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“せどり”で稼いだ33歳シングルマザーの葛藤。OEMで「お母さんはこれを売っているんだよ」と言えるまで

がんをきっかけに「人生で後悔したくない」

療養中「2年前の冬、のどにがんが見つかりました。その時、自分の人生について改めて考えたんです。絶対に後悔したくないと強く思いました。親に頼らず、自力で稼いでみたいと思い、手術を受ける直前に“せどり”のスクールに入りました」  Fさんのすごいところは、がんだと知っても悲観せずに行動したところです。ある有名漫画家さんが実家の花屋の常連客だったことから、その頃、食事をする機会があったそう。Fさんは、そこで漫画家さんからかけられた言葉が忘れられないそうです。 「格闘技の連載作品を長く続けている漫画家さんが、『個人事業主はいいよ』って教えてくれたんです。『自分が楽しい仕事をやっているのと、楽しくない仕事をやっているのとでは、疲れ方がぜんぜん違う。あなたも自分が楽しめる仕事をしたほうがいいんじゃない?』って。ちょうど自分の人生の時間の使い方について考えていたタイミングだったので、心に響きましたね」  また、以前から興味のあったOEMのスクールにも入塾しようと考えたそうなのですが、OEMは初期費用として最低30万円は必要です。手術前だったこともあり「がんの手術を控えてる方を入塾させるのはリスクが高い」と断られてしまったといいます。 「そのスクールを筆頭に、ほとんどのOEMのスクールは元手の資金がないと入れないところが多くて。当時はお金の余裕もなかったため、まずはせどりのスクールに入って元手を作り、銀行で融資も受けてからOEMのスクールに入る作戦に切り替えました」

「世間から見たら“転売ヤー”」せどりは人に言えない仕事だった

 がんの手術は成功し、その後1年ほど中古家電と中国から輸入した商品のせどりを行い、手持ちの資金を増やしたFさんは無事、融資を受けることにも成功しました。 「せどりである程度のお金は手にすることができましたが、時期的にも世間から見たら“転売ヤー”の悪いイメージの仕事をしていることがずっと引っかかっていました。自分のブランドを作るための土台作りとはいえ、親からも理解してもらえなかったのはツラかったし、人にも言えなかったんです。  模造品や偽造品の販売は、Amazonの規約で禁止されていますが、輸入品の真贋は難しいところで、アカウント削除になってしまったこともあります。このビジネスを中心に将来も続けていくのは厳しいと感じていました」
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離婚してシングルマザーに「きちんと生計を立てたい」
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物販コンサルタント。自社ブランドOEMスクール「物販NAVI」運営。かつては大手物流企業に勤めるも給料が少なかったことから新聞配達や深夜の警備員などでなんとか生活。ある雑誌で「せどりで稼ぐ方法」の記事を見つけたことをきっかけに、2011年6月より国内転売をスタート。2014年9月に脱サラ、法人設立後は自社ブランドOEMで月収500万円を達成。現在では物販スクールの講師としてコンサルも行いつつ、売り上げは月商2000万~2500万円をキープしている。YouTubeチャンネル(@navi913)でも情報発信中。

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