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中年男性に友人ができる際、「出会い」のきっかけが曖昧な理由

そして、エロ動画の世紀の発見をした人物が登場

「覚えてるかなあ、柿泥棒して鬼軍曹に捕まったときに、鬼軍曹には自分で彫ったイカリのマークの刺青があったじゃん。それ見て、スガやん、俺はイカリのマークなんてダサい刺青じゃなくてイルカの刺青を入れる。大人になったらいれるって言ったんだよ」 「だからイルカを勧めてきたわけか」  笑い合うスガやんとマサやん。その表情はおっさんのそれではなく、悪ガキ同士のそれに見えた。  初めて会った時のことが思い出せない相手、それは良い理由なのか、それとも悪い理由なのか、それはわからないけれども、なんにせよ、初めて会った時ってどんなだったっけと気になるほどの相手を大切にしていきたいものだ。 「おそくなってすいません!」  ついに僕の待ち合わせ相手がやってきた。エロ動画における世紀の発見をしたおっさんだ。 「これは大発見なんですけど、5人くらい出てくるオムニバス物のエロ動画があるじゃないですか。マジックミラー号とか。あれに出てくる女のコ、たいてい1番目と5番目のコがかわいいです」  もしこれから、このおっさんと仲良くなったとしたら、彼に初めて会った時、彼はマジックミラー号は1番目と5番目がかわいい、といきなり言い出したと記憶することになるので、そうならないよう、このおっさんとは仲良くなってはいけない気がした。 <ロゴ/薊>
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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