いつしか“夜のお店”で働くように
「マヒしていった」という言葉の通り、1回につき2万~3万円だったRさんの売掛は5万、10万円と増えていき、並行して、夜の世界にもどっぷりと浸かっていく。Rさんはもっと稼ぎを増やすため、空いた昼間にも稼げる“
夜のお店”で働くことになる。
――抵抗はなかったの?
Rさん:あったけど、正直キャバクラでも枕をしてる子はいた。最初は働くつもりなんてなくて、たまたまコンカフェの面接に行ったら、ダミー店で無理矢理働かされたのがきっかけだった。それで、正直どうでもよくなった。キャバクラで働いていても、セクハラみたいなことはあるし、もう同じかなって。給料も高いし、送りもある。
――どうしてそこまでして、ホストにお金を使うんだと思う?
Rさん:承認欲求だと思う。ホストに通う女の子は「お金を使える自分はカッコいい」という価値観に染まっている子が多い。「お金を使わない女は悪だ」と言い切る子もいる。ホストも、お金があることを匂わせれば匂わせるだけ優しくなる。初回でも「前の担当にこれだけ使ってたよ」と話すと相手にされるし、もっとかまってもらえて、寂しさを埋められる。あとは、「彼には私しかいない」と思うことで心を満たしているところもある。
――他の女の子たちも、夜のお店で働いてる子が多いの?
Rさん:お金を使う子はほとんど働いてるし、最近はちょっと、お金の集め方がヤバくなってる気がする。「客に病気で手術が必要だって嘘ついたら、〇万円引けた」とか詐欺に近いことを平気でしてる。しかもそれをインスタで自慢する子もたくさんいる。お金を稼げることが唯一相手にしてもらえる方法で、ステータスになってると思う。売掛に追われて切羽詰まって、友達のお金を盗んじゃう子もよくいる。
写真はイメージ
自身もダマし、ダマされるうちに「誰も信じられない、信じられるのはお金だけ」という価値観に染まっていったRさん。他店でも売掛を抱え、トラブルも起こった。
――Rさんが、払えなくなったことはないの?
Rさん:ある。通っていた店で「入れないで」と言ったのに勝手にシャンパンを入れられたり、シャンパンコール中、「シャンパン入れていいですか?」と大声で煽られて高額なお酒を注文させられたり、半ば無理矢理お金を使わされることが増えていった。そこでは30万円くらい売掛をさせられたけど、払っても払ってもなぜか減らなくて、何度も「総額を教えて」「明細を見せて」と言ったけど、はぐらかされて……。
――借用書は?
Rさん:その店では書かなかった。だから、いくら使ったのかも、いくら返したのかもわからなくて。「話がしたい」と言うと「ご飯に行こう」と誘われる。それも同伴として店に連れて行く口実でキリがなかった。
――どうしてはっきりと断らなかったの?
Rさん:恋愛感情があったと思う。「ホストを辞める」「一緒に住もう」と言われて、いつのまにか本気になってた。
――そこから、売掛を踏み倒すことになったんだ。どうして?
Rさん:他のホストに「アイツ、お前と別に“本カノ”がいるよ。みんなに結婚するっていってるけど嘘だよ」と教えられた。疑ったけど、実際に彼の写真が載っている本カノのインスタも見せられて、いろんな人に結婚の話をして、全員に婚約指輪まで渡していたことが分かった。大学生の女の子に「子どもができたら大学やめていい」と無責任に言っていて、ドン引きしちゃって。そこで気持ちが切れたと思う。