「児童相談所は牢獄」親の虐待で“一時保護”された13歳少年の悲痛…自立支援の実態を東京都に聞いた
新宿歌舞伎町にあるTOHOシネマズ(新宿東宝ビル)の周辺地区を指す「トー横」。2019年頃からその界隈に家出した少年少女たちが集まり、好奇の目を向けられるようになった。元風俗嬢、元看護師の肩書を持つエッセイストでライターのyuzuka(@yuzuka_tecpizza)が取材する(以下、yuzuka寄稿)。
筆者が、トー横キッズの取材で子供たちと関わる中で、何度も耳にしたのが児童相談所への不信感だった。子供を守るためのセーフティネットであるはずの児童相談所に、どうして悪い印象を抱く子供たちが多いのか。
そもそも児童相談所とは、児童福祉法第12条に基づいて都道府県や政令指定都市等に設置された相談機関である。名目上は、家庭内外からの子供に関する相談を受け付け、市町村と連携しながら子供が明るく健やかに成長していけるようサポートを行う存在だ。個々の子供や家庭に関わり、その家庭にとっての最も効果的な援助を的確に行う必要があり、支援・指導、および関係調整を行うプロである、児童福祉司などが在籍している。
この児童相談所で援助の方針を決めるまでの間、一時的に入所することになる場所として、一時保護所がある。前回のインタビューではSちゃんが、この一時保護所についても「地獄だった」と話していた。
さらに一時保護を経て行く先は家庭復帰や児童養護施設の他に、かつては「教護院」と呼ばれていた、児童自立支援施設が存在する。児童自立支援施設は、不良行為を行ったか、その恐れのある子供たち、家庭環境等の理由により、生活指導が必要だと判断された子供たちが入所、または通所しながら自立を目指す施設だ。
「不良行為」とは言うが、そこに至るまでの背景には不適切な養育環境がある。実際に入所している半数の子供たちが、何らかの虐待を経験している。
今回、2023年9月に東京都X区にある児童相談所に一時保護された13歳の少年と話をすることができた。N君は「とてもじゃないけれど、寄り添ってくれる場所だとは思えなかった」と憤る。
トー横キッズが抱いた不信感
児童相談所に保護された13歳の少年
エッセイスト、脚本家、婚活メディア「ナレソメノート」では編集長を務める。元精神科看護師と夜職の経験あり。著書『埋まらないよ、そんな男じゃ。』他3冊。「五反田ほいっぷ学園」「愛の炎罪」等原作脚本
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