「何かがあるたびに母親がお尻を叩く棒を」40代元DV加害者が明かす、壮絶な生い立ちと暴力の連鎖
欲望が渦巻く新宿歌舞伎町。トー横キッズにホス狂い、大久保公園のたちんぼ。危険と隣あわせの夜の世界で刹那的に生きている彼女たちは当然事件に巻き込まれることも多く、その度に世間からは「自業自得だ」と批判を浴びせられる対象となる。彼女たちは一体どうしてそこにいて、どう生きているのか。元夜職、元看護師の肩書を持つエッセイストでライターのyuzuka(@yuzuka_tecpizza)が取材する(以下、yuzuka寄稿)。
子供たちの取材を重ねるたびに直面するのが、彼女たちの置かれた複雑な家庭環境だ。行き場をなくし、非行に走る背景には、不適切な養育環境が関わっているのに間違いはない。
どうして家庭内で暴力が起こるのか。前回インタビューでは、全国でも珍しいDV加害者の更生支援に力を入れているNPO法人女性・人権支援センター「ステップ」の理事長である、栗原加代美さんにお話を聞いた。その中で見えてきたのは、“虐待の連鎖”だ。実際に、栗原さんの元に訪れるDV加害者の過半数が、親から虐待を受けているという。
この連鎖を断つことはできるのか。今回は、自身が妻や子供へのDV加害者だとして、ステップでのプログラムを受けていた中島さん(仮名)に話を聞いた。妻と子供にDV行為を行ってしまう自分自身を変えるためにステップに入ったという彼のインタビューから見えてきたのは、世代を越えて受け継がれる暴力の連鎖だった。
――暴力的な性格は、いつからあったのでしょうか。
中島さん:昔から、キレやすい性格でした。妻に対しても、結婚前から物に当たって感情を示したりと、支配的な一面はあったと思います。
――キレてしまう原因には、どんなものがありますか?
中島さん:思い込みのところが強かったと思います。勘違いでキレてしまった先で、相手から「そんなつもりじゃなかったのに」と言われることも多かった。キレてしまうと怒鳴ったり、物に当たったりしていました。
――夫婦喧嘩でもそういうことがあった?
中島さん:話し合いをしていると頭に血が上って、バカにされているように感じてしまうんです。そうなると、我を忘れて怒りに身を任せてしまいます。だから、夫婦喧嘩の中でも「バカにするな!」と怒鳴ったりすることがありましたね。
――怒りがおさまった後は、どんな気持ちになりますか?
中島さん:冷静になると、「どうしてあんなことを言ってしまったのか」「どうしてまたこんな結果になってしまうのか」と落ち込みます。自分なりにアンガーマネジメントの本を読んでみたりもするのですが、うまくいかずに同じことを繰り返してしまうから、辛かったです。
昔からキレやすい性格だった
冷静になって「どうしてまた」と落ち込む
エッセイスト、脚本家、婚活メディア「ナレソメノート」では編集長を務める。元精神科看護師と夜職の経験あり。著書『埋まらないよ、そんな男じゃ。』他3冊。「五反田ほいっぷ学園」「愛の炎罪」等原作脚本
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