更新日:2024年03月15日 15:27
お金

「女性用下着業界」が地盤沈下…しまむらの“安価な大量生産商品”の勢いに勝てず

ストッキング市場は4割以下まで縮小…

 時代の変化に取り残されている、もう一つの会社がストッキングのアツギ。2024年3月期は3億円の営業赤字を予想しています。6期連続の赤字となる見込みです。この会社は緩やかに収益力を失って赤字へと転落。そこから抜け出すことができなくなりました。実はワコールよりも遥かに厳しい状況に置かれています。市場が他社に奪われているのではなく、急速に失われているのです。  日本靴下協会によると、2022年のパンティストッキングの国内生産数は3200万足。前年比15.0%も減少しています。ストッキングの市場縮小はコロナ禍で顕著になりました。2019年の生産数は9000万足。4割以下にまで減っています。  ストッキングはかつて働く女性がマナーとして着用するのが常識でした。やがてスーツとストッキング、パンプスという定番スタイルが崩れ、服装のカジュアル化が進みます。  更に在宅勤務が増えたことに加え、今年のように秋冬に暖かい日が続くようにもなりました。ストッキングを着用する理由がなくなっているのです。  アツギはストッキングの他にも下着や靴下など、商品カテゴリが多いため、市場縮小の影響を別のもので補うことができます。しかし、中長期的には主力商品を別のものにピボットする事業転換が必要になるでしょう。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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