ライフ

おっさんは想定外の事態に弱い生き物である。ジャパンカップで見たとある光景

現れたゴリゴリのギャル二人

「こんにちはー!」  そこにゴリゴリのギャルが二人やってきた。スマホなんて凶器になるんじゃないかってレベルで色々なものがついているギャルだ。 「こっちが同じ職場の峰岸さん、そしてそのお友達」 「峰岸です。すごい人ですねー。楽しみ!」 「モモでーす。よろしくおねがいします」  ゴリゴリのギャルでありながらなかなか礼儀正しいようで、二人はDynamiteに向かって深々とお辞儀をしていた。さらに早めに打ち解けようとしたのか、ギャルのモモちゃんの方からDynamiteに近寄り、会話の切っ掛けを掴もうとする素振りを見せた。なかなかできたギャルだ。 「今日はイクイノックスで間違いないですよねっ!」  その言葉に僕は戦慄した。くる! Dynamiteのめちゃくちゃ早口イクイノックス不安要素理論が出る。これにはさすがのギャルもひいてしまう。それほどまでに勢いと圧がすごいあれがくる。かなり肝を冷やしてしまった。 「あ、うん……イクイノックスでいいんじゃないかな……」  赤面して下を向いている始末。なんで不安要素理論を展開しないんだよ。

予想外のギャル登場にうろたえまくるおっさん

「怖いからイクイノックス複勝にしようかなー」 「い、いいんじゃないかな。堅実で」  複勝で買うのは間違いじゃなかったのかよ。頭沸いてるとかいってただろうが。  結局、Dynamiteにとって競馬場と競馬友達という領域にギャルが入ってくることなど想定外なのだ。そしてその想定外の事態に対応できていないのだ。巷でよく聞くおっさんの理解不能な行動、この多くにおっさんの想定外が関連していると考える。それほどにこれは根が深い。 「いやー、それにしても峰岸さんとモモちゃん仲が良いね、同級生なんだっけ?」  POLOが会話の助け舟を出す。すぐにモモちゃんが答える。 「そうなんですよー。同じ高校で、しかもオナクラ」  その言葉にDynamiteが激しく反応する。 「オナクラ!」  こらこらこら。いまお前が想像しているようなあれじゃねえから。そういうんじゃねえから。ぜったいにお前、あっちのほう考えているだろ。
次のページ
絶対にそういう意味じゃねえから
1
2
3
4
テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


記事一覧へ
おすすめ記事