「大人向けのおもちゃ」が売れまくる理由。2大メーカーは“競技化”で更なる高みに
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
玩具メーカーが好調です。国内を代表する2大メーカーのバンダイナムコホールディングス、タカラトミーは、共に2023年4-9月の売上高が過去最高となりました。
おもちゃはギフト需要が膨らむ下期に数字が伸びる傾向がありますが、両社ともに上期ですでに好スタートを切っています。
業績の伸長に寄与しているのが、「大人向けのおもちゃ」です。
バンダイナムコのトイホビー事業の2023年4-9月の売上高は、前期比17.1%増の2498億円。2023年度上半期の売上高が、初めて5000億円を突破しました。その半分ほどをトイホビーが稼いでおり、2割近い増収で会社全体の業績に大貢献しています。
バンダイナムコの主力事業は2つ。玩具とゲームです。2022年度は「ELDEN RING」が、世界累計出荷本数2000万本というとんでもない記録を打ち立てました。このゲームはバンダイナムコが海外の販売元を務めていました。その恩恵を受けて、2022年度の上半期のゲーム事業の売上高は2000億円近くまで伸び、トイホビー事業と肩を並べました。
ゲーム事業はヒット要因に左右され、業績が安定しづらい傾向があります。バンダイナムコの2023年4-9月のゲーム事業の売上高は、前年同期間比10.1%減の1743億円でした。減収の穴を埋めたのがトイホビー事業であり、今期はその強さを際立たせています。
トイホビーは今期、上半期で過去最高売上を達成しています。
好調だったのが、大人向けのおもちゃ。IP別の売上高を見ると、大きく数字を伸ばしているものが2つあります。ONE PIECEとガンダムです。上半期の売上高はONE PIECEが前年の2.4倍となる300億円、ガンダムが15.3%増の347億円でした。
ONE PIECE FILM REDが2022年8月に公開され、シリーズ史上最高となる1500万人近い観客動員数を記録。昨年は日本中がONE PIECEブームに沸きあがりました。
バンダイナムコは、映画の公開に合わせた絶妙なタイミングである2022年7月に「ONE PIECEカードゲーム」を発売していました。このカードは、従来のコアなカードゲームファンだけでなく、ONE PIECE好きのライトユーザーの獲得にも成功しました。今後は定期的に大会を開催し、ファンの定着を行うとしています。「ONE PIECEカードゲーム」がキラーコンテンツの一つとなるのか、注目したいところです。
ゲームと比べて安定感のあるトイホビー事業
ONE PIECEのカードゲームが好調
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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